合流



シドレたちが汽車を降りると、入れ替わってシングたちが向かい側に座った。なんだかシングとミルミを見るのは久しぶりだ。懐かしささえわいてくる。記憶がほとんど戻った状態であれば。さらに。



「久しぶりだな、ソラ。レイカ」

「お久しぶりです。話はエテールを通してしっかり聞いていますよ。ルイトとジンを迎えにいくんですよね」



2人ともスーツを着ていた。もともとキッチリした服装をしていたのだが、なんだか学生制服とは違った印象を与えてくる。
少し見ない間にシングの"呪い"は成長したようで、彼は手袋をしていた。何事もないように装っているが、何をしても左手を極力動かそうとしないで、右手だけで済まそうとしている。レイカもそれに気がついている様で、寂しそうに顔を窓の外へそらした。



「ホテルの予約はこちらで済ませました。明日にはルイトたちを見つけましょう。ソラの異能は本来、戦闘向けではありません。リサーチをする方です。ソラ自身は戦闘の方面にばかり鍛えているようですが」

「ミルミ、この眼は探索が得意分野。アイみたいな千里眼はないけどルイトとジンをさがすことはもちろんできるよ」

「助かります」

「レイカ、明日のルイトたちの居場所は特定できるか?」

「う、うんっ」



レイカが慌てて頷き、地図をテーブルに広げた。シドレたちが書き込んでいたものをもらったのだ。レイカは自分のペンでバツ印をつけた。
オレを含めてシングたちもそこを見る。



「アイからもらった情報だと、ルイトたちは早朝から動いてるらしいよ。でもだんだんスピードが落ちてるって……。私の予測だと、正午にはこの湖に来てるんじゃないかって思うの。ここは観光地として有名だったんだけど、最近は世界の自然でできたバランスが歪んだせいで、ただの寒い氷の世界になっちゃったみたい」

「……では正午に俺たちもここへ到着しよう。車で移動するか」

「え、誰が運転できるの? シングとミルミはまだできる歳じゃないでしょ?」

「バカいえ。レイカが運転するに決まってるだろ」

「え!?」

「わ、私、機械が得意なの……」



照れ臭そうにレイカは言うが、なんというか、意外だ。たしか研究部には機械を造ったり操作する班があったはず。レイカの所属してる班って……。
そこまで考えていると、シングと目が合った。微笑まれるが、その真っ赤な真っ赤な目は「知らなかったのか?」と苦笑するものだった。