雪国捜索




「……雪国……。ルイトの生まれた国ですか?」

「そうだ」

「……あの国はまだ反異能者の方が多い。異能者を迫害して、人間ではないと、人間未満、神に見放された悪魔……、いろんな言い回しがあるけど、とにかく異能者を発見すれば誰であろうと酷い殺し方をするって……。都市部はそんな考え方が薄れているみたいだけど、まさか」



え?
ルイトは雪国出身なの?
というか、そんな治安が悪そうな国に生まれたの?

そんなこと、記憶を失う前でも知らなかった。あれ。オレって自分が生きることばっかに必死で周りのこと、あまり知らない……?



「どうしてルイトとジンが雪国にいるってわかるんですか?」

「単純だ。オリジナルと契約者が生まれ故郷に出現したのだから縁のある土地に現れていると考えるのが普通だ」

「でもレイカは」

「あ、私は出身地がわからないの。というか故郷がないんだよ。だから誰かに着いていくような形になったんじゃないかな? それがソラだったみたいだね」

「そう……」



案外、みんなのことを知らない。
誰がどんな性格をしているのか、だとか現在のことを知っていても過去を知らない。まっさらに知らないというわけではないと思うが、それでも知らないということには変わりない。

自分の"呪い"を解くことに、魔女を殺すことに、寿命を無理矢理延ばして延命することに。そればかりを見ていて周りを見ていなかった。周りを知らなかった。



「ソラ!?」

「……なに」



ベッドから降りようとしたオレをレイカが左腕をつかんで阻止した。
反射的に阻止をしたのから、目には疑問の色が浮かんでいる。



「ど、どこに行くの!?」

「ウノ様のところ」

「なんで? ほ、報告なら私がしたし、ソラは安静にしてないと傷口が開いちゃうよ!!」

「ルイトとジン、捜しにいかないと……。いつも手を伸ばしてくれているのに振り払ってばかりだから、せめて……」

「でも安静にしてないと! 治癒魔術だってちゃんとかけられてないのに」

「なんとかなる」

「ならないよ!!」



胸が締め付けられて苦しい。
ルイトとジンを捜して、無事に見つけて、帰ってこないと。なんだかこの苦しみに押し潰されて死んでしまいそうな気がする。



「いま、千里眼が雪国を中心に捜している」



ため息を交えてリャク様がナナリーとアイコンタクトをとりつつ言う。



「それだけやる気があるならちょうどいい。ウノの方にオレから言っておこう。良聴能力と身体上昇能力を捜してこい。千里眼が見つけ次第、契約者と合流して行ってもらう。ただし、それまでは安静にしていることだ」