勉強会




「授業をはじめるー。席につけー」

「先生。勉強道具一式わすれました」

「やる気あんのか」

「正直に言うと、ない」

「殴るぞ」

「わ、私の貸してあげるからっ!ね?」

「あ、俺も俺も!俺も忘れた!レイカ、貸せ!!」

「ひっ」

「ジンは持ってきてるだろ!レイカのを強奪すんな!!」

「うっせぇぞルイト!」



そこはルイトの部屋。中央に置かれたテーブルを囲んでソラ、レイカ、ジンと並んでいる。彼らの正面にはホワイトボードを背後に設置したルイトがペンを持ちながら怒鳴っていた。事の発端であるソラは頬杖をついてあくびをしている。
終いにはルイトがキレてホワイトボードを叩き、レイカが驚いて涙目になった。眼帯をしているため、左目だけに涙が浮かんでいる。そんなレイカをソラが慰めた。



「おいルイト、いつになったら始めるんだよ」

「お前らのせいだろうがッ!!」



ジンの疑問に怒声で返し、ルイトはペンのキャップをソラに投げつけた。ソラはそれを避けるとルイトを睨んだが、怒りに満ちているルイトに一切効かない。



「ソラのために始めるぞ、社会の勉強!」

「オレ勉強嫌い」

「知ってる!!じゃあ始めるぞー。まずは異能者について、だ」

「つかナイトって教師なんでしょ?こんな奴よりナイトのほうがわかりやすいんじゃない?」

「次に授業妨害した奴の頭を射る」

「ルイト先生、続けてください」



怒ったままのルイトの目は本気。大人しくなったソラの隣でレイカはルイトの殺気にびくびくと震えていた。
ルイトと幼馴染みで誰よりも付き合いが長いジンは怒られる前に黙っている。



「『黄金の血』やらなんやらで忙しくて解説が足りなかった異能者と世界のことをやるからしっかり覚えておけよ。レイカは俺の補助。ジンは勝手に来ただけだから取り合えずほっとく」

「んだと!?」

「異能者についてだが……。この世界は異能者ばっかじゃなくて人間、つまり無能者も存在する。全人口の割合で示すと3:7で人間の方が多いんだ」

「へえー。人間の方が多いんだ。意外」

「割合なんか本当はどうでもよくて、要は人間の方が多いってことを知っておけ」

「この街は異能者の人がほとんどだからあまり気付かないかもしれないけど、いろんな物は無能者向けに造られてることが多いんだよ」

「続けるぞー。異能者は能力者、魔術師、召喚師、封術師の四種類に分けられるのは基礎だ。全体的に能力者ば半分近く占めてる。逆に封術師はかなり少ない。この組織にも封術師はいるが、少ないな」