再会



「やっと見付けたぞ」



街中にあるカフェで一息ついていたツバサは声をかけられた方を見て微笑んだ。



「見付けさせたんだよ。ストーカーみたいにあちこち嗅ぎまわられても嬉しくないし、俺」



ツバサの目線の先にはレヴィとテアがいた。レヴィはツバサを収集家として集めた異能を駆使して探しだしたのだ。レヴィより何枚も上手だったツバサはあえて逃げ回るのをあきらめた。しかしその結果、テアはツバサと再会することが出来たのだ。「よかった、よかった」と胸を撫で下ろす。涙を流して喜ぶことを忘れるくらいツバサとの再会にほっとしていた。



「まあでも、テアはよく頑張ったね」

「ツバサ、よかった、生きていて……本当に……」

「銃弾一つで俺は死なないよ」



レヴィを無視してツバサは隣にテアを座らせて彼女の頭を撫でてひたすらほめた。レヴィは居たたまれない気持ちになるものの、このような扱いは慣れているため騒ぎ出すこともなかった。



「なんでお前、逃げ回ってたんだよ」

「あのチビに会いたくなかったからじゃない?」

「お前、組織のボスだろ? なんで一人で歩き回ってんだ? 帰れよ」

「まさか収集家に心配されるとはね」

「幼馴染みとして言ってるんだ。どこでも好き勝手して……。まさかまだシナリオ通りにしてるのか?」

「神が作った運命に抗えるわけがない」

「ツバサ」

「でも始まりがあれば終わりがくるのも絶対だ。今はまだってだけ。今は」



ツバサの正面側に座りながらレヴィはため息をついた。テアも眺めるメニューを捲りながら眉間にシワを寄せた。それに気がついたツバサは背凭れに遠慮なく持たれながら呆れた様子を見せつける。



「……再会早々に説教はやめてよ」

「俺だって説教はしたくないが……」

「まあまあ、二人とも」

「ティア……。あ、そうだツバサ! お前ティアにどういう教育してるんだ! 平和主義かと思ったらかなり好戦的じゃないか!」

「レヴィは猫を被った子とずっと一緒にいたいわけ? 素のテアは女性として素敵だと思うよ。生き生きしてて」

「そういうことじゃなくてだな」

「いくらテアが幼いころに俺が拾ったからって全部俺のせいにする? テア自身が生きて学んだ結果がそれだよ。テアに聞けばいいじゃん。なんで猫被ってるの? って」

「そんなこと本人に聞けるわけ……」

「本人の前で話してるけどね」

「そうよ、思い出した! ツバサとレヴィが幼馴染みってどういうこと?!」

「つーかお前、今後どうするつもりだ?」



賑やかになる自分の周りにツバサは苦笑した。それからふたりにここは店内であることを伝え、静かにするようジェスチャーした。