紛れ込んだ寄生者をさがせ
 


私服を着て、漆と共に踏み入れた場所は今回の依頼があった任務先。仕事だ。

今回の任務を行う場所はこの町。
寄生者と交わる赤道付近の地域は争い事がたえないのだ。赤道が通る暑苦しい場所に限った話ではないのだがな。地形上。いくつかの都市が防御壁を展開して防御壁都市と化しているなか、危なっかしいこの町も防御壁を建てればいいのにな。……まあ、金がかかってなかなかできる話じゃないか。
とにかく、今回の仕事もいつも通り寄生者絡み。
寄生者から自分達で治安を守ろうとする民間の自治隊がある。その自治隊のなかに寄生者が潜り込んでいるという話だ。私と漆はその調査をしてほしいとのことだ。そして寄生者を発見し次第殺せ、と。



「よぉーし、まずは依頼者に挨拶だ」

「気合い入れてその自治隊の本部に行こうとしてるところ悪いんだけどさ……、境」



刀を布製の軽いケースにいれて背負う漆は私の方を見上げた。そして指をさす。その人差し指の先にあるのは白い軽トラック。



「迎えが来てるみたいだから歩く必要はないと思うんだけどな」



荷物を背負って、刃物が見えないように覆われた大鎌を担いだ私に漆は苦笑いをした。
軽トラックから中年のおじさんがでてきて私たちに手を振った。





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「いやー、びっくりしたよ。こんなに若い子がLEなんてな。若者ってのは聞いてたが、まさか酒も飲めねえガキだったとはな!はっはっはっは!」

「そりゃあ、最近できたばかりの制度で子供を集めてたからな。部隊に入って、今も生き残ってる対寄生者用の部隊の最年長でも二十代前半だしな」

「最近の若い子は軍に入って……、大変だなあ」

「いや、私らみたいな部隊は軍人だけど、そうでもないというか。リーダーさんや副リーダーさんは地位も与えられたちゃんとした軍人だけどな」



軽トラックは二人乗りが限界だった。膝の上に漆を乗せた私は、依頼者であるおじさんの話になんとなく付き合う。むっすと無愛想に頬をふくらませた漆は会話に参加せずただ前を向いて呆然と近くなっては通りすぎていく背景を眺めていた。



「おう。着いたぞー」



本部に到着したらしく、おじさんがゆっくり車を止めた。車をおりるようにいわれたから、漆が最初におりて私もそれに続いた。そのままおじさんに案内されて小さな二階建ての建物の中へ入っていった。