寄生者とは
 


みわはポツポツと、真実を語り始めた。



「寄生者寄生者って、なんだか僕たちのことを人間のあなたたちは敵視するよね。今の戦争も、どうやら僕たちを危険だと判断して抹殺しようとしてるんだ。そもそも寄生者ってなんで『寄生者』だなんて呼ばれてるのか知ってる? なんで『寄生』なの? 誰が僕たちを突然変異で現れた、だなんて言ったの? どうして僕たちは……」



ただ用意してきたセリフを読んでいるわけではないのだろう。みわはだんだんと次第に声に力がこもり、震いだしていた。葉蝶の剣が首に触れそうになっていることもわすれている。
みわは一旦区切り、重苦しい空気を吐き出した。



「あなたたちに植え付けられた知識は間違っている。あなたたち騙されている。……元帥に」



今度のみわの目は強かった。
みわの言葉を聞いて葉蝶、夏満、独利は顔を見合わせる。意味がわからない、と桃紫と寂は首を傾げた。境は「はあ?」と声をあげ、漆はゆっくり立ち上がって境のもとへ。田中と椿はそれぞれみわに続きを促した。



「始まりは十数年前。とある実験が始まりだった。その実験で寄生者が生まれたの。新種の寄生虫をウイルスとして人間に投与する、という方法でね。目的はいまとなってはあやふや。けど、それが原因で寄生者が生まれたのは確か。この実験はまだこの戦争が起こってない頃に北半球のとある一国が行った。寄生者を勝手に生んで、勝手に危険だと広めて、一方的に戦争を仕掛けた」

「証拠はあるのかしら? ……信憑性がないわぁ」

「僕が寄生者だということ。もしくは、僕の血を体内に入れればいいよ。突然変異説を否定することができる。寄生虫が宿ったこの血を、ね」



後者は対寄生者部隊のLEにはできない。しかしみわは挑発するように片手で強く剣の刀身を握った。みわの首に剣を当てていた葉蝶は驚く。
ここで強気にならないと信じて貰えない、とみわは痛みを我慢した。片手の血を流すくらい、信じて貰えないよりずっとましだった。
たとえ血を流しても誰も寄生者の血を飲まないと分かりきっているみわは一旦差し出した血塗れの手をおろした。



「『寄生者は敵ではありません。被害者なんです』……か」



漆が呟く。境はすぐに「そういえばシガがそんなようなことを言っていたな……」と言う。



「中将が言いたかったことが繋がりそうだな」

「独利先輩、どういうことですか?」

「それよりもこいつの話だ」



独利は顎でみわを指す。みわは独利に促されて話の続きを語りだした。