A surprised policeman
 



壁に地面に電話ボックスについたまだ温かい真っ赤な血に小さな悲鳴をあげたのは通報を受けて駆け付けた警官だった。複数いる警官は言葉を無くし、そのうち何人かは吐いてしまった。臓物が腹から出た死体、頭を撃ち抜かれて脳が丸見え、目玉が片方どこかへいった死体、首がない死体、一刀両断された死体……。
こんな惨劇にしたのは通報にあった洗脳された人間か、と暗い路地裏で目を凝らしてみれば大剣をもった青年がいた。黒い髪は紫のようにも見える。ところどころに入った銀のメッシュが発見を手伝った。彼に警戒をして拳銃をとろうとした警官は、はっとした。彼のつけている腕章に「LE」と書かれていたのだ。これは対寄生者部隊の人間。軍人。



「LEの方でしたか!」

「悪い、殺した」



警官が驚いて声をあげると冷静な声が帰ってくる。同時に青年が、響が警官を見た。金色の眼だけがひかっていて、まるで獣のような鋭い目付きに唾を飲み込んだ。



「あ、あの、純たちも片付けをしたいのですが」



そんな少女の高く、少し遠慮がちに小さな声がして警官がそちらを向けば自分の娘よりも小さな少女がそこに立っている。純だ。彼女にもたしかにLEの腕章がついている。警官は言葉に詰まらせたがやがて声を発した。



「後始末はこちらでしておきます。お疲れでしょう。今日はお休みください」

「あ、ありがとうございます。もっと綺麗に殺しておけば良かったですね」



ぱあっと浮かべた純粋な笑顔からとんでもない言葉がでて警官はまた硬直してしまった。そんな警官たちに背中を向けて響は純を連れて路地裏から離れていった。一直線に向かった先はホテル。はやくからだを休めたいのだろう。それに血生臭い。
その道中、軍服の上に黒い上着を羽織っていた2人のどちらかが腹をならした。



「あ……」

「純はかわいいな、まったく」

「あ、あの」

「さすがロリ!ロリの中でも俺はダントツで純が好きだ!……さて、なにか食べてからホテルに行くか?」

「はいっ!ありがとうございます!」



響のあとをついていく純は彼に聞かれない程度に呟いた。



「ロリってことは、まだ純も小さいってことですよね。背を大きくするためにももっと牛乳を飲まないと」



響にその声も、純がそう思っていることも届かない。
2人は飲食店にはいり、食事をとったあとホテルへ向かった。