LEひとり
 


あー、えっと、なんだったか……。
なんで私は一人なんだったけ?

人が何度も土を踏んだせいで歩いた跡ができた道を進み、港へ向かいながら私は頭を傾げながら考える。というか思い出す。後ろを確認のため見てみるが誰もいない。前にも横にも。
漆がいないのが一番の問題だが、響と純もいない……。これはなんだ? いじめか?



「ああ、そういえば港を監察するため、っつーか、寄生者が出てくる前にまず船を待ってたんだよな。港が見える丘で。うん。そしたら船が来たもんだから私が走って……。んで、ついてくると思ってたのに誰も来ないっていう……」



やっぱいじめだろ。
戦えるかもしれないという期待があって、嬉しくて無我夢中になりながら走ったらこれだ。なんだかんだでついてくるはずの漆がいないってどういうことだ。なんだかんだで気が合う響もいない。周りをよく観察している純もいない。

少しだけ響たちを待つことにした。
しかし私の「少しだけ」はたかが知れてるわけだ。1分もしないだろう内に私は待つことを止めて寄生者がいるであろう港にむかうことにした。

それにしてもどうして来ないのだろうか。
ふざけた遊びを仕事中にやるような連中ではない。いや、漆はするかもしれないが響が止めるだろう。……丘のほうで何かあったのだろうか。3人を足止めできる何かが。
待つのではなく、進むのでもなく、戻って様子を確かめようか。いや、もし敵の足止めをくらっていたとしても私が戻ったところで邪魔になるのではないのだろうか。仕事を優先させるのならば、私はこのまま港へ向かうべきだ。3人がいるんだから大丈夫であるはず。そう信じよう。

私は走り出した。
さっさと寄生者どもをぶっ殺して響たちのところへ行こう。

大鎌を肩にのせながら道を無視し、近道を走る。船はまだ到着していないが寄生者はゾロゾロ集まってきているところだろう。寄生者は何人いるのだろうか。寄生者は集団で行動する。これは確実だ。1人ではないだろう。まあ、1人だと私がつまらないんだけどな。



「っとと」



丘から港へは近い。もう港へついて、私は木陰に身を隠した。港の状況を伺う。船が来る準備で先程よりすこし賑やかになった港には人間が数人。寄生者と人間を見分けられる私は人間の中に寄生者がまざっていないか探しだすが、どうやらいないようだ。まだ寄生者は来ていないということか。
――はぁ、とため息をついたその時だった。
前方に何人かの寄生者が視界に入り、急いで私は奴らにちかい物陰へ身を隠した。