True character
 



女性は運転手と少しばかり話すと、すぐにそこから立ち去った。



「……教官……」

「純、取り合えず寄生者の隊長を優先させるぞ。その教官がこの町にいるなら仕事を終えてからでも会うのは遅くない」

「会ってもいいんですかっ?」

「気になるんだろ」

「はい……!」



響は元気のない純の背中を優しくおして屋上から離れた。

どうして人間が寄生者のいる南半球にいるんだ?
……いや、俺たちもそうなんだが。俺たちは正規の任務だ。確か他の対寄生者部隊はいくつか戦場にでていて、他は北半球にいるはずだ。そもそも純と漆の教官は養成機関でまだ働いているんじゃなかったか?
いや、まて。何か忘れてる。重要なことを……!

響が屋上から地上への階段を降りながら一人、考えていた。純も同じく自分の教官について考えていたらしく、ふと響を見上げた。



「……きょ、教官って、色さんのお姉さんだった気がするんですが……」

「なに?ちょ、ちょっと待てよ。色は死んだよな……?」

「は、はい。戦死です。実力のある寄生者にぶつかったらしく、洗脳で、狂って……」



色――。
彼は響、純と同じくLEに所属している男性だ。入隊したのは純と漆より遅い五番目。鉄扇と大きな刀で戦う。そんな色は先日死んだばかりだ。寄生者部隊の討伐をする任務だ。その任務自体の難易度は低い。寄生者部隊といっても雑魚の集まり。LEや他の対寄生者部隊にとってはその任務はその程度だった。しかし、色は戦死。任務自体は失敗していない。確かに部隊を殲滅した。ではなぜ戦死したのか。それは寄生者が敵だからだ。寄生者は仲間意識が強く、互いを強い絆で結ぶ。仲間を第一に考えて行動をすることが特徴だ。つまり、それだ。運が悪かったのであろう。部隊を殲滅させているという情報を知った別の寄生者が敵討ちに戦場に現れたのだ。その寄生者が何人なのかは不明だが、その寄生者は強力。洗脳を扱えるまでに強かったのだ。色は、その強力な寄生者の前に、倒れた。



「……まさか」



最後の段差を降りた。
響はとある答えにたどり着き、息を飲む。
純も同じ答えにたどりついたのか、布で覆ったライフルを強く抱き締めた。



「色は、死んだ。それも重要だが、もっと重要なのはそこじゃない。色には姉がいるんだ。名前は彩。色と共にあの任務に同行したあと行方不明になっているそしてその彩こそが、純と漆の元教官――」