SSS


 

空間転移魔術によって移動したオレ、ルイト、シング、ミルミ、ツバサそしてリカが敵のアジトを前にして改めて作戦を確認した。



「今回はラカールとチトセを救出できればそれで十分。それ以上はなにもしないこと。極力。で、未知の建造物の中に入るので二人一組になってもらいます。シングとミルミはもちろん同じ。探索の主力となるのはルイトとリカ。そこはまとめて一組ね。ルイトとリカがこの建造物の構図を収集して持ち帰る。で、俺とソラが一緒。目覚めたばかりのソラの戦力を補うのが俺」

「質問」

「はい、ソラくん」

「あのさ……根本的な話になるんたけど。……建造物って、どこ?」



辺り一面は木、木、木。ここは林のなか。
ツバサは建造物がある前提で話をしているが、どう見たってないだろう。さすがに夜、暗いせいで建物がみえない。なんてことはないだろうし。そもそも、暗くたってオレには良眼能力という――。



「ソラ、下だ下」

「下? 土?」

「ばか、そっちじゃなくて」



ルイトが指をさすのはどう見たって土じゃん。土以外に何を指してるの、その下を向く指は。え、なに、地中にいらっしゃるプランクトンのこと? 落ち葉を分解してくれてありがとう? てか寒い。なんで冬なの。オレ寒いの苦手なんだけど……。



「ソラ、変なこと考えてないよな?」

「……」



さて、下。建造物。
まあ自ずと見えてくる答えは簡単なことだ。



「地下に明たちのアジトがあるってこと? 地下か……。地上にあれば規模がわかるのに」

「だから俺とリカが見取り図を作る。気を付けろよ、ソラ。ツバサ、ソラを頼む」

「オレはルイトの子供か」



失礼な。
とりあえず拳銃の弾倉を確認して人差し指を真っ直ぐにして引き金に添えた。
地下への入り口はすでに知っているはずだ。ツバサがズンズンと先に進んでいくのでリカが慌ててツバサに続き、その後ろをオレたちがついた。



「ソラ無理するなよ?」

「はい。自暴自棄になったりしないでくださいよ」

「なるべく戦わず事を済ますのが理想的だ」

「そうです。マスターに同意です」



シングとミルミがオレを心配して、二人してオレの背中をさする。ルイトも頷いて同意しているし。これでもオレだってちゃんと戦える。明と戦って感覚は思い出したのだ。そこまで心配されることじゃない。



「ははっ、拗ねてるのかソラ」



なんて言いながら今度は背中をバシバシ叩き出したシング。まったくもって失礼極まりない。てかルイトのその我が子を見る父親のような温かい目はなんなの。ミルミの無表情を見習えアホ。



「こら、もうそろそろ敵の管理下だ。緊張感をもて」



リカに怒られてしまった。ツバサは「微笑ましい光景だねえ」と、今度は祖父のような視線を送ってくる。オレらは家族か。