SSS


 

オレとシングの目がバッチリ合った。シングの手はオレの脇腹に向けられたままピタリと止まっている。



「ソラ、起きました」

「……ああ、起きたな。くすぐって起こそうかと思ったのに」

「作戦失敗です」



オレのわき腹へ向かおうとするシングの手。オレの視界にはオレを覗き込むシングとミルミ。……なにしてんの、この人たち。



「あ、ソラ起きた? おはよう」



体を起こすと、向かいのソファにツバサが座っていることに気が付いた。ツバサは笑顔でこちらに手を振っているので軽く会釈をして「おはよ」と返す。シングとミルミに改めて何をしているのかと訪ねようとして、ズキ、と左腕が痛んだ。



「さっき話し合ったんだけどさ」



左腕の痛みは痺れる程度。これくらいなら「痛い」と呼べるようなレベルではないだろう。座り直してそれからツバサの話を改めて聞く姿勢をとった。
オレの横にシングとミルミが並び、3人で正面のツバサを見る。



「ラカールとチトセの救出任務にソラを入れたいんだけど、ソラほ承諾してくれる?」

「え?」

「この任務にはそこにいるシングとミルミ、それからルイトにも参加してもらう。他にももう一人くらい追加するし、俺も行くけど」

「……命令じゃないの?」

「ちょっと難しい任務だからね」

「難しい任務にオレ? オレはリハビリ中なのに?」

「ソラは戦い方を覚えてるよ。大丈夫。それに、今回は救出をするだけ。機動力を重視してるんだよ。正直、戦闘能力よりもそっちを気にしてるから」

「もし敵と遭遇したらどうするの?」

「彼らは俺に会いたがってる。なら俺が囮になるから君たちは気にすることなく任務に没頭すればいい。幸い、敵は少人数だからね」



さあ、どうする?
ツバサの瞳がそう言う。シングとミルミもじっとオレのことをみていた。



「参加する」



乗りかかった船だ。オレが必要なら不要になるまで乗ろう。
満足そうにツバサは頷いた。おお、とシングは軽く手を叩き、ミルミは「よろしくおねがいします」と握手を求めてきたので応じた。



「で、いつ助けに行くの? のんびりするとは思えないんだけど……」

「明日の夜、20時にロビー集合。各々必要な物を持って行きます。急になるし、いつ終わるかわからないからその翌日まで予定はいれないでね」

「カレンダーは真っ白だから大丈夫だよ」