廃校で待ち伏せ
翌日の午後、ミントの迎えがあった。ちょうど昼食を食堂でルイトとジンの三人で食べていたところだった。オレが目の前にある自分の分のごはんを食べきり、食器の片付けはルイトに任せた。 心配性のルイトが何か言うのではと思っていたが、何も言わなかった。オレはジンと手を合わせてから別れると、仕事の準備をした。 待ち合わせした場所でシングとミルミの二人と合流して、ミントのテレポートで目的地まで移動した。
到着したのは、もう使われていないような、錆びきった学校だった。ところどころの窓が割られていたり、校舎には植物が張り付いていた。現役の校舎はきっと真っ白だっただろうに、いまでは灰色に染まり、黒い汚れが遠くからでも目立つ。まだ校舎からは50メートル以上の距離があるのに、オレの良眼能力があると、中の廊下に埃や蜘蛛の巣も目視できた。
「なんで廃校なの?」
「私たち諜報部がとっっっても頑張って調べた結果、彼らはなんらかの異能を用いて別の場所からここに来て、それから私たちの本部の周りをウロウロしているということがわかったんですよ!」
「なるほどね」
「廃校ともなれば人気は少ない。中継地点にするなら条件はいいからな」
シングが納得したように頷いた。その左手ではすでにナイフを弄んでいる。
「ソラ、周囲に誰かいないか確認してもらえますか?」
「了解」
ミルミに言われて、オレは周辺をくまなく見ていった。人の気配はない。首を振って答えを示すと、ミルミは「わかりました」と、答えた。無表情なのは相変わらずであった。
「じゃあ待ち伏せしちゃいましょう! 単独行動は危険ですが四人で行動すると隠密行動にならないので二人一組になりましょう!」
「妥当だな。じゃあ俺はミルミと組む。彼らがどこに現れるかわかるか?」
「わからないんですよー。本当に、謎が多すぎて。普段なら余裕で調べられるんですけど……、今回は……。なんなんでしょうね」
首を傾げてミントは口許を尖らせた。 オレはその間に周辺を確認する。
「ミント、オレたちは屋上に行こう。そこから下を見下ろす」
「あ、はい。わかりました! じゃあお二人とも、頑張りましょうね。ツバサさんから殺すことは禁止だと言われています。今回は追い払って、彼らには泳いでもらおうってことになってますので!」
「ああ、了解だ」
「わかりました」
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