案内


オレの発言にはオレもルイトも驚いていた。オレは頭を掻いて「なんで……」と呟く。ルイトは右手をオレに伸ばそうとして途中で止め、代わりに話を続けた。



「そう。それがソラの所属する暗殺部のボスだ。ちなみにウノ様のボス補佐はナイト。昼間は異能者の専門学校の講師をしている。諜報部のボスはさっきも会ったツバサ。マイペースではあるが信頼できる。そのボス補佐はサクラとリカで……、まだ会う機会もないだろ」

「……はあ」

「研究部のボスはリャク様。見た目は小さくてまともな性格に見えるが研究のことになるとネジが飛んでる。そのボス補佐はナナリー。東洋人で、縁の下の力持ちだな。ツバサとリャク様の仲はかなり悪い。傭兵部のボスはカノン様。ボスの中では一番遭遇率が低いな。なんせ異能の関係で一日のほとんどを睡眠に費やしてる。そのボス補佐はエテール。さっきの医務室に普段はいるはずだ」

「覚えきれない」

「最低限ボスの名前は覚えとけ。会うことが無くてもな。ちなみにソラたち暗殺部と傭兵部は水面下で仲が悪いらしいから……」

「それはなんとなく分かってるから大丈夫」

「……そうなのか」



ボスがウノ様とツバサとリャク様とカノン様。そのボス補佐はナイトとサクラとリカとナナリーとエテール。名前だけじゃなんにもイメージつかなくて覚えにくいって。

一階をぐるりと案内されてエレベーターにのる。そこでルイトに二階と三階は寮だと言うことを教えられた。二階が女子寮で三階が男子寮だとか。オレは男装のこともあって男子寮らしい。
そのまま四階に着くと中を歩く。実際に部屋を見せられて場所を教えてもらった。



「ここが談話室な。飲み物やパンの自動販売機もある。その隣が食堂で……」



そうやって案内をされていると、いつの間にか上層部の入り口までやって来ていた。ルイトはエレベーターから降りるだけでそれ以上進まない。オレたちが乗ったエレベーターではここが限界だ。



「ここを含めて上は上層部って呼ばれてな、基本的にボスとボス補佐以外立ち入り禁止だ。一番上にはボスがたまにやってる集会っていう話し合いをする場があったり、ボス補佐も含めてそれぞれの仕事場や私室があったりする。オレたちが立ち入るには事前にボス補佐へ許可を取りに行かなくてはいけない」

「ずいぶんと内緒事があるみたいだね?」

「俺だって詳しいことは知らねえよ。けどやばいものがあるってのは聞いたことがある。しょせんは噂だけどな」

「へぇ」