男装少女




「?」



オレを視界にとらえた眼帯の少女は嬉しそうな表情をしたが、すぐにはっと意識を取り戻して持っていた紙袋をこちらに向けて差し出した。



「ルイトから連絡をもらって……、その、これ。ソラの服。え、えっと、私、まだ仕事残してきてるからもう戻るね。ばいばい」

「え? ありがとう……」

「い、いいのいいのっ」



少女はそわそわし出してルイトに助けを求めるように視線で訴えていたが、ルイトはなにもしないので逃げるように部屋を出ていってしまった。紙袋だけをわざわざ渡しにきたのだろうか。
それにしてもあの子、どこかで見たことがあるような……。たしかあの子はオレよりいくつか歳上だったような気がする。やはり記憶が曖昧だ。

気になって紙袋の中身を見ると、紺色のコートとTシャツ、黒のズボンと……、なにかを入れるホルダーのようなものがある。太ももに巻くものと腰に巻くものだ。あ、奥の方に胸当てがある。胸潰しというべきか。
一番下に敷かれていたのは拳銃二丁とその弾丸。驚いて、少女がさっきまでいた場所を見た。



「俺、部屋から出るから着替えろよ」

「え、あ、ああ……、うん」



ルイトはさっきまでオレが使っていた拳銃を取って、その調子を見ながら部屋の外へ行った。
オレはついため息を溢して着替える。だいぶラフな格好で、着替えるのはとても楽だった。ホルダーを右の太ももと腰に巻いて、その中に拳銃をしまう。弾丸もホルダー内に仕切られた場所に入れて、最後にコートを羽織った。髪を左耳の下へひとつにまとめてしまえば、いつも通りの格好に。

着替え終わったとルイトに報告したら、ルイトはオレに建物と組織の案内をすると行って部屋からでることになった。



「ちなみにここは一階の医務室な。簡単な怪我を治したりする」

「学校の保健室みたいなもの?」

「保健室より高性能だけど、まあそんなものだ」



ルイトはオレの先を進みながら組織の構造について簡単な説明をした。



「ある四つの組織が合併した組織がこの組織だ。ツバサも少し言っていたけど、名前や呼ばれは様々だ。ここ組織の最大の特徴は、ボスが四人いるってことか」

「四人も? 普通は一人じゃない?」

「合併する前の各ボスが同時にボスになった。損益で合併したが、中身はほとんど合併前と変わらない。基本的に合併前からいるボスの部下たちは自分達のボスは一人のみと考えている傾向がある」

「結束力ないじゃん」

「けど、それを上手いこと利用してるのがボスだ。この組織のボスたちはそれぞれ専門分野やなわかれている。諜報部、暗殺部、研究部、傭兵部だ。ソラは昔から暗殺部のほうに所属している。ボスの名前は――」

「……ウノ様」



え、あれ?
口が無意識に動いた?