欠欠欠欠欠欠落落落落落落
ソラが死んだ。
ルイトたちがその知らせを聞いたのはつい一週間前になる。ナイト、シャトナ、レオが話をしていたところをたまたま聞いてしまったのだ。
葬式には行っていない。そもそも行われていない。ブルネー島の文化を尊重したのだ。
焼いて、埋めるところはルイトたちも立ちあった。
ミルミは滅多に表情をかえないのに、このときだけ泣きそうな表情でいた。シングはただミルミをずっと抱き締めていて、辛そうにしていた。
レイカに至ってはボロボロに泣いていた。ジンも何度も涙を袖で拭っていたし、ルイトも涙を浮かべた。
埋める場所はブルネー島。
はじめてルイトたちが立ち入る島は、案外綺麗だった。
もともと家が高台にしかたっていないため、津波による被害を受けたのは植物ばかり。
どういう造りなのか、石碑は何事もなかったかのようにたっている。
学校ではソラは辞めたことになっていた。
時々学校の敷地内でツバサが仕事から逃れるために走っていたり、雑草を抜いているのをよく見かける。
学校に紛れ込む組織の人間も、組織ではないソラを知るほかの生徒も、なにか足りないような空気を醸し出している。
少なくとも、ルイトたちはそうだった。
「あ……」
ちょうど食堂から寮の部屋へ戻っていたルイトは、ソラが居た部屋の前に立つナイトとレオを見かけた。
「どういう手を使ったのか、魔女は逃亡したそうよ。ちょうど炎の組織本部に搬送される道中で。 それにあの不自然な竜巻と津波が気になるわ。」
「大地の組織を中心に調べてるんだろ?」
「一応ね。」
「しかしあいつも、よく大地の研究に参加出来るよな……。」
「あら、嫌な記憶でもよみがえった?」
「別に」
カチャカチャとナイトがポケットから取り出した鍵をソラの部屋のドアへ差し込む。
そして、二人は部屋に入って行った。
「よぉ、ルイト」
「ああ、ジン」
「どーしたんだよ、こんな所で。部屋に入んねぇのか?」
「…今から入るところ」
「ならいいけど…。……、俺の部屋に来るか?」
「そうする…」
ジンの気遣いにルイトがのり、ジンの部屋へ入る。誰もがなかなか調子を戻せない。
大切な人を失った喪失感は大きい。
「って、なんでテメェらがいるんだよ…!」
「まあまあ、いいじゃないか。」
「気にしないでください。」
「あ、あの……ごめんなさ……い……」
ジンが自分の部屋に入るとすでにシング、ミルミ、レイカが居座っていた。
ルイトは苦笑して、ジンは「勝手に入んじゃねぇ!!」とキレた。
キレたジンを見ても平気でいるシングとミルミ。恐怖で涙を流しそうになるレイカ。
日常風景だ。 ソラが欠けた日常風景。
消灯時間ギリギリまで雑談をして、ルイトたちは解散した。
ルイトが部屋に戻ると、テーブルの上に送り主の名前が書いてない手紙がおいてあった。
ルイトはなんだ、と思って手にとる。ドアは鍵を閉めてある。窓は閉めていない。 よくわからず「ルイト」と手書きで記された若干汚い文字を見てルイトは鼓動が早くなるのを感じた。
封筒を開け、中を見る。
鬼嫁、心配性の異名を勝ち取ったルイトへ。 勝手に僕を殺すなバカ。僕はルイトたちが好きだからちゃんと戻ってくるよ。 だからそんなに泣くな。
それだけ。
「泣いてねーし」
ぽろぽろと頬に涙を流すルイトに説得力はない。小さな期待に心臓は忙しく動く。
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