影と光
 

『ちょっとレオ、それ本当!?私の愛するソラが命の危機!?』

「大げさだっつの。いや、間違ってはないけど。つかいまどこに居るんだよ、シャトナ。」

『ナイトと一緒にツバサの所に来たのよ。ちなみに、大地の組織(集団)のトラックは、渋滞に巻き込まれて停まっているわ。』

「……それならさっさとソラを殺しに行かせないとアイツ…」

『けどシング……だっけ?その人達がいるんなら行けないんでしょ?どうしよう…。ねぇナイトー』



電話越にレオが女性2人の会話をきく。

レオはシングたちと別れたあとすぐに自室へ戻って携帯電話を手にした。電話の相手はシャトナだ。


相性がいいレオと組んでよく任務をしている。彼女は今年度卒業する生徒。同性愛者というわけではないが、いつも「ソラ愛してる」「ソラ付き合って!」などを言っている。ソラがいつも九死の逃亡を繰り広げている相手だ。
ソラはシャトナと事が嫌いではない。むしろ好きだが、シャトナのソラに対する愛情表現は過激だ。



『もしもーし』

「……シャトナ、いつから男になったんだよ」

『まあ何でもいいけどさ、ソラなら俺が明日なんとかするから。
今夜から俺がソラん所に行くまでに死ななければいいんだけど』



レオの精一杯のボケはあっさりかわされた。

シャトナの携帯にでたのはツバサ。直前にガタガタと雑音があったことから、シャトナから奪ったのだろう。

現在ツバサのカタカタとキーボードとマウスを素早くかまう音とシャトナの『返せぇー!むぐっ』という声が聞こえる。



『あれやっときゃ良かったな。あ、でもウンディーネの許可がいるか。』

「?」

『とにかくそんな感じだから。あ、ちなみに渋滞の原因はノームの超遠距離魔術によるものだから、明日の昼頃まであいつら来ないはず。安心してねー』

「……は、はぁ…」

『はいシャトナ。パス』

『ぷはっ!もっと早く返してよねっ!あ、レオ?』

「大変だな、シャトナ」

『まあね…。じゃ、ツバサが言ってた通りだから。あ、それと私とナイトは今日こっちで一晩過すから。また明日!』



レオが返事をして、携帯電話を切る。

レオは窓から外を見た。
窓からは学園の外が見える。
街は建物の明かりがイルミネーションのようになっていて、綺麗だった。

道路は車の明かりが動くことなく輝きつづけ、シャトナの言っていた通りに渋滞していることを確認した。



「ソラが殺すと思って人払いしといたけど無駄だったな…」



レオとシャトナは毎回、ソラの殺人のために人払いを夕方のうちに済ませておいている。
もともと2人がここに転入したのは、ソラがここで過ごせるようにとサポートをするためだ。

ソラが明るい性格であったおかげでクラス全員と仲がいい。
最年少であのクラスに入って生徒からは可愛がられている。ソラは「子供扱いしないで!」というが、効果はない。



「寝れない…」
(目的はわからないけど、大地の組織が迫っていて、安心して眠れないし。それに胸騒ぎがしている。嫌な予感しかしないなぁ…)