彼視点
 






もう、勘づいているだろうけど…。俺は記憶喪失なんだ。
まぁ、記憶喪失になったのはなんか…"思い出だけ"らしい。医者が言うには。



(……三年前…。僕が事件を起こした時だ…)



何かのショックで記憶が跳んだらしい。

俺はもう全然気にしてなかったし、記憶を戻そうとも思わなかった。

けど、今日。

なんでか知らないけどソラの部屋に入った瞬間、頭に映像が流れ込んできたんだ。

感覚でわかった。

俺の記憶だと。

しかも、記憶を無くす原因となった瞬間に近いものだ。



「なんでそれを僕たちじゃなくて真っ先にジンに伝えたの?」



ああ、言ってなかったか?俺とジンは幼馴染みなんだとよ。

記憶喪失になる前から仲がよかったそうだ。



「そうなんだー」

(―――――平常心、平常心…。普段のように振る舞わないと…。ウンディーネ様の命令がないかぎり、僕の好き勝手にできない)

「じゃあさ、ルイトたちとツバサって、どんな関係なの?なんか、知り合いっぽかった。レイカも…。ツバサの名前を知ってたし」

「つか、そう言うソラも、ツバサとどんな関係なんだよ」「友達だよ。」「はぁ!?」



まてまて。
ジンがソラに聞いてるのになんでツバサが答えるんだよ。
しかも即答で。



「ツバサは云わばお偉いさんで……いだだだだ!!手捻らないで!」

「俺とソラは友達だよ」

「いつ僕とツバサが友達に痛ぁ!!」

「ソラくんには少し教育をし直す必要があるみたいだね。俺が再教育してあげようか」

「すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみません」

「よろしい」



あぁ、なんかだいたい分かった。



「分かったの!?ってか僕ツバサ嫌いーっ」

「は?」

「なんでもないです。」



まぁソラたちは分かったとして……。
俺たちはだだの知り合い。強いて言うなら……。



「っちょっと待って」



どうしたんだよ、レイカ



「……あ、の…。ソラ、さっき上司って言ったよね?ツバサのこと。」

「うん。」

「ってことはソラは四大組織の…」

「ありゃ。レイカ、四大組織のこと知ってたの?」

「な、名前……だけ。あとは分からないけど」

「そっか」



四大組織?
なにそれ。



「ルイトたちにはあとで俺が教えてあげるよ。無料で。」



む、無料?有料もあんのかよ…。

………話はもどすけど、強いて言うならある意味恩人?

身寄りがない俺たちを引き取ってくれたんだよ。
学園に入学する条件で。



「あ、わ、私も…。ツバサは恩人なの。」

「恩人?ツバサが?炎は何をしてんの…。そういうの、仕事に入ってたっけ?」

「水と違って炎はデスクワークばっかなんだよ。あれは息抜きだよ」



なんだよ、炎とか水とか…。

つか俺たちを助けたのは息抜きかよ。



「そうなるね」

「あれがか。」

「つかさぁジン。俺を呼び出しといて、用事はなに?補佐に追われてるから早く用事済ませていただきたい」

「まだ追われてたんだ」



ツバサに聞きたいことがあるんだよ。
俺が思い出した記憶について…。

俺が思い出したのは場景だけなんだ。他は、何も……わからない。
せめて俺がみた場景は何処なのか、場所が知りたいんだ。



「それ有料。借金でもいいなら教えてあげるよ」

「ねぇ、こいつ本当に恩人?」

「ソラは黙りなさい。」

「……あーい」



ソラ、大人しくなったな。



「ふふん。まあねー。僕にだって学習能力はあるんだから!」



是非とも普段の生活にその学習能力を使ってくれ。



「で?ルイト。思い出したのは?」



ああ。
俺が思い出したのは――――――