血だらけの部屋で絶たれる光
 



「はっ、ロリコンかよ。気色悪い。そんな奴は要らないっつーの!」

「ぎゃっ、ぐえっ、ぐががガガぁぁアァァァああアアア」

「え?ごめん、それ人語?なに言ってるのか聞こえないんだがー」



ガンマは自分と赤い人≠探していた同士の腹をチェーンソーで切り裂いていた。みちゃみちゅとチェーンソー食い込む腹の中は臓物がかき乱されて、切り裂かれた臓物や血が辺りに飛び散っていた。

その近くに、目を閉じて横たわるユアンが居た。一切動かず、まるで死んでいるかのように肌に生気はなかった。―――――彼女は死にかけていた。腹辺りからじわりじわりと血が溢れ出ている。その傷口は銃に撃たれたそれそのものだった。
服が血を吸い、吸いきれない血は床にまるい血だまりを描いている。

はっきりしない視界でユアンはガンマに殺されているスーツの男を見ていた。

男は人の言葉とは思えない声を発していて、もう発狂しているのか時々奇声をあげる。
ガンマは困ったような表情で、それでもたのしそうにチェーンソーを離さなかった。

男の喉が潰れて声を出せなくなり、腹をお粥のような状態にされた時。


突然ドアが開いてルベルと紫音が現れた。



「ユアン!!」

「………なんだ、この臭いは…っ」



ルベルはすぐにユアンを見つけるが、部屋いっぱいに漂う血の臭いについ鼻を覆った。
血の臭いならなれていたはずでも、これはいままでに嗅いだことがないほど濃厚で紫音は顔を歪めた。



「てめえ…何しやがったんだ!!」



ルベルが吠えると、そこにいたガンマは彼らをゴミを見るような冷たい目線で眺める。



「部屋の状況みればわかるだろ」



餓鬼が、と舌打ちをしてスイッチが入ったままのチェーンソーを床に投げた。ガンマはまどの枠に足をかけてそこに座る。
チェーンソーは不規則にそこで暴れまわっていた。

紫音は銃口をガンマからはずさないでユアンに寄った。それにルベルが続く。



「大丈夫か、ユアン」

「おにぃ…ちゃ、」



ユアンが話した声は掠れていて、聞き取りにくいものだった。
紫音は「喋るな」とユアンの血を抑えるのを手伝った。だが、指と指の間から血は溢れてしまい、止まることはなかった。

銃口を向けられた状態でも余裕をみせるガンマは紫音がユアンに集中している間に拳銃を取り出していた。



「その餓鬼、助かるわけ無いだろ」



そう言って弱っているユアンを撃った。



「ぐぁ…っ」



そのユアンを庇ったのは、飛び出してきたベルデだった。



ドサリと、ルベルでも紫音でもユアンでもない人物が倒れた。
ガンマはすぐにドアの方を向いた。そこから息を見出しながら現れるコリーと、何歩か遅れて黄果。
真っ赤に血に染まる部屋を見て、二人は驚くが、怪我をしているユアンとベルデをみてすぐさま黄果が駆け寄った。

紫音はユアンとベルデを黄果に任せて、コリーとガンマに対峙した。



「1、2…」



ガンマはその場にいる人数を数え、終わったあとに恭しく頭を下げ「未来を楽しみにしてろ糞餓鬼ども」と言い残してまどから飛び降りた。



なんだったんだ、とおもうよりも早く全員は怪我人に集中した。
紫音はチェーンソーに撃って動きを止めた後に寄った。



「ベルデは平気です。肩を撃たれただけですので……。しかしユアンは…」



重そうに語る黄果にルベルの顔は青ざめていった。



「お…おい、嘘だろ…?そん、な、ユアンが…」



怒って黄果に八つ当たりをするでもなく、ルベルは受け入れがたい現実を眺めた。



「お、にちゃ…私………」







生きたいよぉ…、死にたくない…っ、おにいちゃんの近くで、ずっと一緒に生きたいのに…、こんなに弱い私が悔しい

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