朝灰


「なんで敵のお前がここにいるんだよ!」

「いいじゃん!ちょっとお話してこーよっ」



今日泊まるホテルに散歩から帰って来てみれば、その部屋に堂々と居座っていたのは敵である寄生者のみわ。金髪のツインテールを可愛らしく揺らしているが、媚びようったってそうはいかない。というか、漆はどうした。漆は。あいつには留守番を頼んだんだが。まさか……!



「そういえば銀髪の少年なんだけど、その子ならさっきお風呂に行ったところを見たよ。夕食を食べてるところに綺麗なえっちぃお姉様たちが寄ってて、そのまま連れてかれた」

「……ちびが一人でメシ食ってたらそりゃ……」



今日は夜に栄える銀座のホテルに宿泊している。少年が趣味な女がいてもおかしくはない。まあ、漆なら一人でもなんとかなるだろう。頭いいし、だてにLEに所属していない。



「それより、僕おもったんだけどー」

「何をだ」

「本編にはまだ君とさっきの少年とメッシュ青年と金髪のお嬢さんしかいないじゃん?」

「私と漆と響と純のことか。わかりにくい……」

「なのに!登場人物の紹介欄にいる人数の数ったら!差が大きいよ!釣り合わないよー!」

「知らん。私に言うな」

「酷い!そりゃあいいよね。君は主人公だもん」

「あ?」



流れてもいない涙を拭いながらみわは鼻をすずった。ったく、面倒な奴だ。



「おい、そんなに落ち込むなよ。あれだろ?いっきにキャラを出したら読んでる人、誰が誰だかわかんなくなるだろ。だから少しずつ出してくんじゃないのか?みわもそのうち出るって。考えてもみろよ。お前は永倉(←管理人)にかなり好かれてるんだぜ」

「そ、そうかな」

「だからこうして、ここに出てるんだろ。他の誰でもない、みわが」

「そっ、そうだよね!釣り合わなくても気長に待てばみんな出てくるよね!」

「そういうこった」



ぱあっと笑顔になるみわは純粋で、敵ながら可愛らしい一面があるものだと思った。自然に手が伸びて、みわの頭を撫でる。小動物みたいで可愛い。敵だけどな。



「でも永倉(←作者)って、お気に入りのキャラをいじめたい派の人間だから、みわの登場は遅いかもね?」



私は言ってないぞ!?
おい、みわ!泣きそうな顔をするな!誰だいまの酷い台詞を言った奴!!
バッと声がした後ろを振り向けば、そこに立っているのは恐ろしいくらい暗黒のオーラをまとった漆がいた。
みわは目に涙をためて絶望しはじめた。
私も絶望したい。漆の暗黒のオーラに勝った事がない私はいますぐあれを止められる唯一無二の純を召喚したくなった。やばい、殺される。漆の矛先は私とみわだ。いつも私に矛先が向くよな。いや、それはどうでもいい。漆は子供とは思えない殺気を含めて私たちを睨んだ。ああ、お姉様方に苛々したんだろうな。

……。さよなら人生。





2012/01/23 09:22



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