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「沙夜って、悪魔を信じる?」



ふと、バラエティー番組を観ていたときに玉乃が口を開いた。沙夜はポカンと口を開けて思考を停止させている。ミカンを誤嚥して噎せながら沙夜は涙目になった。



「た、玉乃くん? 急にどうち……、どうしたの?」

「なんで噎せたり噛んだりしてるの。沙夜……」



玉乃は呆れた様子だった。

極端に不幸体質の沙夜は圧倒的に幸運体質の玉乃と共に暮らしている。玉乃は反抗期を迎える頃の少年の姿をした正真正銘の天使だ。清潔感のある透明で澄んだ色の金髪と碧眼は、彼が天使であることをどこか納得させられてしまう。天使といっても、純白の翼を生やして頭の上に輪が浮いている天使とは違うと、玉乃から説明を受けた沙夜だが、どうしてもレギュラーな姿を連想してしまっていた。



「悪魔だけじゃなくて、狼男とか、吸血鬼とか、人魚とか、妖怪とか、信じてる?」



フリーターの沙夜は首を傾げて悩んだ。しかし目の前にいる玉乃を視界に入れると微笑む。



「目の前に天使がいるんだもの。信じるよ」



玉乃の予想通りの解答に、質問した玉乃はほっとした。



「それらが怖いと思う? もし身近な人がそういうのだったら……」

「どうかなー。それ自体はあんまり怖くないかも。私、昔からこの体質でそれよりも怖い目に遭ってるから。あ、でも、やっぱり私に何かするんだったらこわいかも……、なんてね」

「ふうん」

「玉乃くん、急にこんな質問してどうかしたの?」

「別にー。なんとなくだって」



玉乃は沙夜から視線を外して賑かなテレビに見いる。
沙夜は――、九条沙夜は、首を傾げて玉乃と同じようにテレビに見いった。

   

2013/06/14 09:43



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