朝灰




時々、ふと考えるんだ。寝る前だとか、食事をしている時だとか、響と談笑している時だとか、漆と純が笑い合っている時だとか。

私と響は一人の人間から真っ二つに分かれて生まれた存在なのではないのか、と。

私と響は双子で、容姿はほとんど同じ。私にできないことは響ができる。響にできないことは私ができる。私たち二人が一人の人間になればそれは完璧な人間だろう。
たとえば、完璧な人間が居たとしよう。神様はそいつがあまりに完璧すぎて、欠点を作ろうと思うに違いない。完璧な人間はなにをし出すかわからないからな。神様は己の「神様」という立ち位置を守るために、完璧な人間に欠点を作ることにした。その完璧な人間を二つに分けることによって――。

まるで神話のような、童話のような、馬鹿げた話だ。それでもつい、そのことを考えてしまう。
それだけに、私たちは正反対なのだった。





2012/07/01 10:33



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