▼ SSS しーんと静まっている室内で唯一カリカリとペンが走る音だけが響いている。 うん、今日も真面目にデスクワークを行っている。たまには暗殺や殺しの依頼をナイトにも回したほうがいいよな。体が鈍ってしまってはいかん。 そう思って私、ウノは隣にいるナイトを見た。私に目はないから見た、という表現はおかしいかもしれない。 「……」 「……」 無言。 つまらんなぁ。 私には人間らしい血の通った部位がないからデスクワークはいつもナイトに任せっぱなしだ。私がする仕事といったら暗殺や殺しのみ。しかもSランク。Sランクなんてそうそう入ってくる依頼ではない。だから大抵私は暇だ。 そして現在も暇だ。 どうせならソラとシャトナとレオにも仕事をまわせばよかったかもしれない。ソラが大好きなシャトナのことだ。愉快になるだろう。ああ、ソラは今までのブランクを取り戻すのに必死だ。ソラを誘うのは止めたほうが賢明だな。うむ、ソラが駄目なら、ラカールとチトセがいいかもしれない。目の前でベタベタするものだからシャトナが焦ってレオに告白するのは、見ていると面白い。レオのツッコミと華麗な無視、シャトナの告白は本当に面白い。シャトナが本気ではないと分かっているからレオは毒舌を含めた酷いツッコミをする。あ、まてよ。4人ともいま各暗殺をしに今居ないじゃないか。ならば勇人を呼ぶか……。駄目だ、勇人は無口だ。今と変わらないじゃないか。 ん?違う、駄目じゃないか。他の子を加えるのではなく、私がナイトとコミュニケーションを取らねばならんのだ!カノンはエテールとコミュニケーションをしっかりとっているじゃないか。1日で少ししか起きていないのに。まぁ、エテールが積極的に話しかけるからな。カノンは寝ても覚めても威圧感があって、話しかける子はあまりいないがエテールは別だったな。それにのってシャラもカノンになついて。コミュニケーションだな。ではリャクはどうだ。……いつも仮眠室がうるさいよな。なぜだ?まぁ、リャクは頭がいいし、そのことで世界にも名が知れ渡っていたほどだから研究やら科学やら化学やら医学やら語学やら数学やら、よくわからんが補佐や直属の部下のみならずいろんな子と仲良しだ。ああ、ツバサ以外だが。コミュニケーションだな。ツバサだが、あれはいいな。他人には対等な態度だ。ああ、リャク以外だが。二人居る補佐のリカとはよく鬼ごっこをしているのを見かける。わりと本格的な。「仕事をしろ!!」とリカが言っているが。サクラは料理が上手い。よくツバサに差し入れしているらしい。ツバサにだけ猛毒が入っていると噂で聞いたことがあるが、 所詮は噂だ。ツバサもちゃんと仲良くやっている。コミュニケーションだな。 私もナイトと同じようにコミュニケーションをとろう。カノンたちの段階はもうクリアしているはずだ。今は無言だが。 私の頭は正直よろしくない。学がないから買い物も75年前に覚えたばかりだ。だからリャクのようにはいかんな。 じゃあツバサのパターンだ。サクラのように差し入れは出来ない。手がないしな。お茶を淹れるのがやっとだ。ならば脱走しかないじゃないか!……鬼ごっこ。で、出来るぞ!!私にも鬼ごっこはできる!! ではいまから…… 「ウノ様」 「なっ、なんだ?」 「書類、全部終わらせました」 「そうか。お疲れさま。ところで私と鬼ごっこをする気はないか!?」 「お、鬼ごっこ?二人でですか?」 「二人でだ!!」 「ウノ様……、」 「?」 「ウノ様には手がありませんよ。じゃんけんができません」 「………あ。ガッテムシット!!」 「ちょ、どこで覚えたんですかその言葉!」 「勇人が言ってたぞ。」 「勇人……っ!!あの子ウノ様に変なこと吹き込んで…!」 「ははっ。いいじゃないか。子供が成長している証拠だ。悪巧みも成長のひとつ。喜ぶべきだナイト。はっはっはっは」 「もう、ウノ様は……」 雑談開始。 なんだ、私もナイトとコミュニケーションしているじゃないか。 鬼ごっこ、もとい逃げる必要ななかったみたいだ。 2012/05/28 00:16 |
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