争奪戦




「赤髪の青年と頬に刺青をしていた少女は敵の可能性がある。寄生者じゃないみたいだが、だからといって味方であるとは限らないしな」

「一般人っていう雰囲気でもなかったしね」

「そうだ。警戒しておくことが一番だな」

「わ、わかりました」

「あーもう、私は暴れられればなんだっていいんだが」



響を中心に境、漆、純は会議をはじめていた。
のどかな田舎の田んぼの隣で四人の男女が丸くなって会議をしている様はどこにでもあるようで、現実離れしていた。
境のもつ大鎌、響のもつ大剣がそれを物語っていた。また、この二人が変わったものを持っているせいか、漆と純の小包のようなものも嫌な方向に連想させた。



「……とりあえず九条沙夜を探しながら地形の把握だな」

「了解」

「目的を阻む奴がいれば敵とみなしてかまわん」

「よっしゃ! わかってるじゃないか弟!」



バシンと響の背中を叩いて高らかに笑った。



・・・・・・・・・・・・・・・・・



「でねー、境はその熊を一人で倒して焼いて食べたんだよ!」

「まさか一頭全部……」

「そうそう! 僕は安全に携帯食を食べたんだけど、境は携帯食まずいからって」



漆は隣にいる純に遭難したときの話をしながら田んぼと田んぼの間にある細い道を歩いていた。固い土の上には車が通った二本のあとがはっきりと見えている。土の色がみえない所には強く雑草が生えていた。

境と響とは別行動になった


「携帯食がまずいのは仕方がないのに……ってあれ?」



漆は緑が続く地の上に人影をみて首を傾げた。
二つの人影は真っ直ぐ別の道を進んでいて、今のスピードで歩いていけば曲がり角ですれ違うかもしれないと予想をしていたが、漆は顔をしかめた。



「ねえ、あの黒っぽい服の人がさっきからこっち見てない?」

「えっ!」

「気のせいかな……。遠いからよくわからないけどさ」

「ど、どうでしょう……。私たちの向こうにある山を見ているのかも」

「山なんてあちこちにあるじゃん」

「うぅ……」



漆は純と手を繋ぎ、あれは悪の組織の手先で、と想像を膨らませていた。
あながち二つの人影の正体は間違っていないが。


人影――ソラとルイトの二人組とすれ違うとき、片方の黒っぽい服装であるソラがとんでもない質問を直球で投げ掛けるなんて漆と純は予想していなかったのだ。


↑最後に悩んだ結果、こうなりました……くっ


2012/04/10 12:15



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