争奪戦




「九条沙夜、ね。どんな人だと思う?」

「知るかよ。つか写真があるだろ」

「外見じゃなくて中身の話だよ」

「知るか」

「どうみても一般人でしょ。なんのために……」



ソラは左手に持った九条沙夜の写真をひらひらと揺らしながら、テレポーターのミントに飛ばされた土地を歩いていた。すぐ横にはルイトが呆れ気味にため息を吐いていた。

ぱっと見、そこは静かな田舎だった。周囲に田畑が広がり、どの方向を見ても低い山が天に向かって伸びていた。見渡す限りの緑と民家にソラは「ここどこだよ」と文句をもらした。
真っ青に晴れた空のもと、ソラとルイトはどこかもわからぬ土地の地形を覚えるために歩き続けていた。



「あ、ねえルイト」

「なんだよ。菓子ならさっき買っただろ。まだはらへってんのか」

「違うって。なんでオレをすぐ食べ物に結び付けるわけ」

「お前がいつも……、ん?」

「やっと気付いた」



暖かい春に似合わないコートを脱いでルイトに私ながらソラは前方にいる二人組をじっと見た。良眼能力。観察と戦闘に長けたソラの異能者としての異能。



「ここからあの二人組の距離はそこまで遠くないね。向こうに気づかれたらどうなるか……。あの歩き方はどうみても戦闘に慣れたそれなりに強い子だと思うよ」

「よく見えないけど、まだ小さいだろ」

「オレだってあのくらいの頃はもう銃を握ってたよ。別に変じゃないと思うけど」

「お前なぁ……。そもそもソラがおかしいだろ。武器をもつこと事態がおかしいって」

「武器っていえばさ、あの銀髪と金髪の子も持ってるみたいだよ。銀髪は……刀……。あれは刀袋だ。金髪の方がわからない」

「注意しとけってことだな」

「敵だったらね」



続くー
次は境たち視点で


2012/04/06 14:58



prev|TOP|next


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -