SSS サガシモノ

ソラがなにか隠してるなってことはすぐわかった。ソラの嘘は上手なんだけど、人に隠しごとをしてもなかなかばれないこともしってるんだけど、なぜか今日のソラはわかりやすかった。ああ、もう会えないのかなって、悟った。ソラがなにを隠しているか、だなんて聞いてはいけない気がした。聞いてはいけないと思った。だって。私たちだって、魔武器のことをソラに隠してきたんだから。



「じゃあね、後藤さん」



雄平を送って、私とふたりきりだったけど、もうここでお別れらしい。
聞きたくない言葉だった。

ソラとの付き合いは長いわけではない。むしろ短いのかもしれない。私のなかで、ソラはクラスメイトではなく「親友」だったんだ。ちゃんと。なにか悔しい。歯がゆい。



「?どうかした?」



私がうつむいてて、変に思ったらしいソラは心配して足を進めなかった。私に近寄って、ほかになにも言わないで頭を撫でた。その手は優しかった。私より一回り大きい手。私と同じ女の子なのにかっこよくて、同性にモテて背が高くてつい頼ってしまう。困ったときはさり気なく助けてくれる。あなたは優しい。いつも私を助けてくれた。魔武器のことでなやんで、落ち込んでたらソラがなにもいわず頭を撫でてくれた。その優しい手と今撫でてる手が同じで。あまりにもやさしくて、悔しくて、惜しくて……。どうしてソラはいってしまうんだろう。どうして離れてしまうの?
理由は聞けなかった。目から流れたそれは抑えきれず。口から洩れた声はソラへの質問ではなく、別の――、感情だった。






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『待ってたヨ』



電話をするといつも通りのセリフと聞きなれた声がした。副委員長だ。
だれかに伝えたくて。なにを伝えたいのかわからないけど、とにかく伝えたくて携帯電話を手にとった。電話帳から選んだのは副委員長。
一通りの説明をすると副委員長は電話の向こうにいる金髪碧眼の少年と女顔は悩みの少年に声をかけた。『かわいいワタシの千佳チャンが〜』から始まって『で、ソラがなんでいなくなったか知らない?』といった。どうやら副委員長は知らないらしい。魔武器やその地域のことはなんでも知ってるのに、それ以外となるとやっぱり弱いのかな。何もしらないって意味じゃなくて、それが一般人くらいの情報量になるというか。情報屋でもテリトリーは自分の住んでる街だけっていうらしいし、まあそれが普通なのかな。



『俺知ってるよ。ソラって子がどこに行ったのか』



幼く、元気のある活発そうな少年の声は私の知り合いでも一人しかいない。智将くんだ。ガサガサという音がして、遠かった智将くんの声が近くなった。



『そのソラって子、俺と礼とあの双子と同じなんだよ。もともとここの世界の人じゃなくてー。うーん。なんていうか……、言っていかな。その子も能力者でー、もとの世界に戻っていったけで……。うん!つまり異世界の異能者なんだよ。』



それから続く彼の言葉は衝撃だった。でもソラが真実を言えない理由としては納得できたし、なんだかすっきりした。さみしくなるけど、ソラは戻るべき場所に戻ったんだ。これでよかったんだよ。





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呪いによって蝕まれていることは知らなくて、ただ彼女の帰還を喜んだ無知な少女


2012/02/26 00:02



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