その他(トリップ系)





「あれれ?えっと……どなたですか?」

「可愛らしい方ですね」



連れていかれた先にいたのは高校生くらいの男女5人がいる会議室だった。机が中央に寄せられた青色のこの部屋が会議室だというのは、ツバサさんたちの会話で知ったこと。

会議室の中にいた猫耳のようなフードがついた女の子と金髪の左だけ赤いリボンをつけた女の子が私に問う。猫耳フードの子は首を傾げて、赤リボンの子は微笑んだ。
赤リボンの子と同じ茶色の軍服らしきものを着ている茶髪のつり目な男の子と銀髪のサングラスの男の子は机に置かれたクッキーを食べていた。奥で座っている金髪のイヤホンをつけた少し目付きが鋭い男の子はちらりとこちらをみただけですぐ窓に戻ってしまった。



「今日から保護することになった花岸葵ちゃん。仲良くしてあげてねー」

「そいつの生活はどうするんだよ。ツバサが自腹きれよな」

「あそこで文句言ってるのはイヤホンはルイト。あんなこと言ってるけどかなり面倒見がいいから」



舌打ちをしたルイトさんが怖いです。
眉を下げて小さく礼をするとルイトさんは私に声をかけた。



「別に怒ってねえから大丈夫だって。……よろしく」

「はいはいっ!私はミントです!よろしくお願いします!仲良くしましょうっ!」



両手で挙手をするミントさんはとっても元気だ。笑顔もキラキラしていて明るい人なんだなあ、と思った。


「次は私たちですね。私はシドレといいます。まだまだ育ち盛りの女の子らしいぷにぷにとした身体、期待してますね」

「俺はワイルト。ワールって呼んでくれ。こいつに何か変なことされたらいつでも俺に言え。なんとかするから」

「アイだ。よろしく」



私は一通りの自己紹介を受けると、名前を覚えるために復唱していった。



「えっと、ルイトさん、ミントさん、シドレさん、ワールさん、アイさん。それからツバサさん、リカさん、サクラさん……で合ってますか?」

「完璧だ」



腕を組んで満足げにリカさんは微笑んだ。
ああ、よかった。もし間違えていたら印象を悪くしてしまう上に嫌な気持ちにさせてしまう。
私がそうホッとするのもつかの間、ツバサさんは「さて」と話題を変更した。



「じゃあ葵ちゃんがここに慣れるまでの世話係を決めようと思いますが、立候補する人ー。あ、もちろんエレベーターを使える人だけだけど」

「なら俺はダメだな。いつも階段だ」

「エレベーターも階段も使わない超便利な私はダメですかぁっ!?」

「じゃあサクラ。葵ちゃんを任せた」

「立候補じゃないのかよ」



ダメだな、というルイトさんに、両手を挙げて立候補したミントさん。シドレさんたち三人もなにやら話をしていたんだけど、ツバサさんが一方的に決めてしまった。サクラさんって、あの怖い人のことだよね……。サクラさんも嫌そうな顔をしてるんだけど……。
私がそうやってビクビクしてるといつのまにやら隣に来ていたミントさんに手を握られた。



「葵さん、こんなに怖がってるじゃないですか!絶対に私がいいですって!」



そしてミントさんのツバサさんに対する長い抗議が始まったのだ。


2012/01/30 10:55



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