SSS




リャク様はこの部屋から出られない。なぜならレイカたちを送ったこの陣に魔力を流し込まなくちゃいけないから。私はリャク様の補佐として、リャク様を……!



「薄暗い部屋……リャク様と二人っきり。ならば!やることは一つ!」

「仕事しろ」

「撫でまくるっ!さあ、抱きつきましょう!」



バッ!!と両手を広げてリャク様の背後にまわれば、彼は「バカか!!」と私を罵倒しながら避けた。
そんなところも愛らしいです!
まったく、うちのショタは、ほんっとうに……!
サイズがないからって少し無理をした白衣や見た目に合わない言動、ショタというカテゴリにふくまれるのに「可愛い」というより「綺麗」が似合う容姿。すべてが完全に私の好み!しかもツンデレ!!リャク様大好きですお嫁さんにしたいです撫でたい!!まだ未発達なその体を!ガッチリした体ではないショタらしい体!それでもある程度の筋肉があって、大人になりきれない成長期の体は弾力のある柔らかい肉で!!キラキラした美しい金髪に、つい取り出して標本にしてみたくなる透き通った瞳!いつも室内にいるせいか、その白い肌は私にはないもの!それにリャク様はなんだかんだいって優しいのだ!じつは!この優しいところは一番身近にいる私だけが知っている一面だといいな。なんて。



「おい、涎が出てるぞ……」

「リャク様食べたいです。性的な意味で!」

「お前ここで死ぬか!?」

「食べてはいけないのなら、いまここで抱き着かせてください!好きですリャク様!ショタは世界を救う!ツンデレショタぷまいれす!」

「だ、ま、れ!!仕事しろ!仕事しないなら今すぐ黙れ!黙れないなら黙らせてやる!」



いままで逃げていたリャク様が方向転換して私に迫ってきた!!しかもだいぶ眉間にシワが寄って……。怒ってるリャク様も好きなんだけど、その、この場合、私がターゲットだから……えっと。逃げよう!リャク様はいまこの部屋から出られないんだから、今回は勝算があ、る……!?



「捕まえた」



魔術ーーーーー!
そうだ。リャク様は魔術師。しかもレベルが低いものは詠唱なしで展開できる。そのうえ複数同時展開だなんて朝飯前だった……!
なんてこと!やばい、とにかく、私の身が!
床に倒れて動けなくなった私に勝ち誇った笑みでゆっくり近付くリャク様。そんなリャク様ももちろん大好きなんだけど、状況が状況だから……。
リャク様はうつ伏せになった私を仰向けにするとポケットから小さな敏を取り出した。人工呼吸をするように私の顎を持ち上げ、ひとこと言う。



「副作用がない即効性の睡眠薬だ。もちろん、対ナナリー用の。対封術師用の、といってもいいか」

「リャク様!リャク様!リャク様が私にいう副作用がないって信用できないのですが――んぐっ!?」



むりやり薬を口に入れられた!
飲み込んだら負けだから飲み込まないように鼻で呼吸していたらリャク様に鼻をつままれた!こんなところで死ねないし苦しいから、私は負けを認めて薬を飲み干す。そして襲ってくる睡魔にも負けたのだった。





2012/01/29 08:29



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