CPなしコラボ


「さすが治安部隊といったところね」

足音が過ぎ去ったあと、シャトナは物陰から顔を出しながら辺りを確認してみた。静かに頷き、背後で待機をしていた華連が姿を現す。
地下を進んでいた二人は地上から降りてきた治安部隊に捜されていた。侵入者に気が付くのが早すぎる、と舌打ちをする暇などない。

「もうバレちゃったのかな……?」
「いいえ。今のは異常の確認をしにきた、程度のことでしょう。私たちはうまく隠れたはずよ」
「それならいいけど」
「心配性ね」
「あはは、そんなことないよ」
「あらあら。困り顔が可愛いわ。味見したくなるわね」

華連は下げていた眉をさらに下げた。その「味見」とやらが何を比喩しているのか考えたくなかった。居心地が悪そうに顔をそらす華連を艶やかな笑顔で見守るシャトナは至極楽しそうである。

「……え、えっと、シャトナはそういうことばかり言うけど、恋をしたいって言わないよね」
「恋?」
「恋愛だよ、恋愛」
「恋愛?」

はて、とシャトナは首をかしげた。恋愛とは何なのか、それを知らないとでもいいそうな表情に華連は驚く。肉体的なそれは経験豊富――直接聞いていないので華連の想像――であるのに、それに直結する恋愛経験はないというのか。

「恋愛の意味……、分かる?」
「分かるわよ。失礼しちゃうわ」

頬を膨らませて拗ねるシャトナにほっと胸を撫で下ろす。少し安心した。

「初めはてっきりレオと付き合ってるのかと思ってたんだけど、レオは好きじゃないの?」
「レオの攻め方は大好きよ」
「……。あの、そうじゃなくて」
「冗談よ。ただレオは同じ苦悩を乗り越えた半身、いっそ、もう一人の自分だと思っているわ。自分に恋はしないでしょう? 恋愛するには近すぎるのよ」

否定するシャトナは微笑んでいる。確信をもってのその言葉に、ただ華連は納得した。そうか、近すぎるのか。と。


2016/02/28 10:04



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