その他(トリップ系)





ツバサさんから説明を受けた。私がいる建物がどういうものなのか、とか詳しいことは教えてくれなかった。知りたいんだけど生活を許してくれたんだ。ツバサさんは話したくないから話さなかったんだと思うし、私は聞かないことにした。しばらく私が目を覚ましたこの医務室にいて、仰向けに寝ていた。ポニーテールの背が高いお姉さんが検査にきて「異常なし」とキラキラの笑顔でいうとツバサさんは私を連れて医務室を出た。

医務室はまっしろだったのに、廊下はまっくろだった。大理石のような床と壁が続いていて頼りになる光は天井から降り注ぐのではなく、八分目くらいの高い壁の平面を一列に線を描いていた。それと床と壁の間からの足下への光もあって、二つの光源が放つほのかな明かりが歩くことを困らせなかった。



「あ、あの……、どこへ行くんですか?」

「取りあえずは俺の部下に会わせようかなって。全員はむりだから葵ちゃんと年が近い子でキャラが濃い子に、ね。大丈夫。みんな優しいから」



ツバサさんに、部下?
ツバサさん、若そうなんだけど……意外とお偉いさん?異世界はわからないな。
なんて、首を傾げていたら廊下に別れ道ができた。ツバサさんは迷いなく進んで、私も急いでついていく。ふと、ツバサさんが立ち止まった。どうしたのだろう?あ……。手、握られた。お兄ちゃん以外の男の人と手を繋いだことがないからはずかしい……。私、まだ中学生だし、さ。
廊下を進んでいって、先に少し見慣れた物が見えた。エレベーターだ!異世界だと言われていたけどあまり実感がないし、私ひとりだけだったからエレベーターに親近感がわいてしまった。



「リカ、サクラ。これが拾った子」

「貴様はなんでもかんでも拾ってくる癖をやめろ」

「つか来るの遅い」



ひとつのエレベーターのわきに立っていた小さな女の子と青年は、笑顔で話し掛けたツバサさんを早々にけなした。
私のなかでツバサさんは良い印象だから、この二人が怖い人だという認識をしてしまった。



「この二人は俺の部下ね。小さい方がリカ。大きい方がサクラ。リカはこれでも大人だから見た目通り子供扱いすると嫌われるから気を付けてね」

「あ……うん。私は、花岸葵です」



怖い人だからなんとなく引け目に軽い自己紹介をする。ああ、なんか、怖いな。
だけど私の予想に反してリカさんは私に笑いかけてくれた。



「先ほどは怖い思いをさせて悪かった。ツバサが言っていたが、私はリカ。気軽に話しかけてくれてかまわん」



小さな手が握手を求めたので私はそれに答えた。怖い人じゃないのかな?サクラさんとほうはシンプルに「こいつが言った通り」だけだった。サクラさんは怖い人だ。



「サクラはもう連絡したよね?」

「会議室に呼んだ」

「どうも。じゃあ会議室に行こうか」



サクラさんはエレベーターのボタンに触れながら三秒くらい静かにした。触れるだけだった。ボタンは押さなかった。でもエレベーターのドアは開いたから私の気のせいかな、なんて思った。だってエレベーターはボタンを押さないとドアは開かないし。

さっきはツバサさんに連れられたけど今度はリカさんとサクラさんも合わせて4人で移動することになった。さっきと違ってすれ違う人の数が多い。










他にも出す予定でしたが案外長くなったので今回はここまで


2012/01/24 08:51



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