初詣

【三橋】
おみくじを引いたら凶だったらしく三橋が呆然としてる。「気にしなくて大丈夫だよ」「き、気にしてない…よ!」ブンブンと首を振るけどおみくじを見ては落ち込む三橋に、私は大吉だったから一緒に結ぶ?とおずおず聞けば「…いいの?」ぱあっと明るくなった顔を上げる。おみくじを結んで、これで三橋くんも大吉かなと笑えば「オ、レは…みょうじさんといるだけで、大吉、だよ」はにかんだ三橋がフヘっと笑う。

【阿部】
人の多さに圧倒されていたら「迷子になるなよ」と阿部がニヤリと笑う。「ならないよ」「どーだかな」楽しそうな阿部は両手を上着のポケットに突っ込んでいて。「じゃあ手を繋ごう」「確かにその方が良いな」ふっと笑った阿部の耳が赤く染まり手を繋がれる。すると繋いだ手は阿部のポケットへと入れられたから阿部を見上げれば、横目で見てきていた阿部とふと視線が合うけどまた前を向いて「…だってさみぃだろ」と呟く。

【栄口】
大晦日、栄口から掛かってきた電話に驚いて出られずにいたら[ごめん。今忙しい?]とすぐメッセージが来る。[大丈夫。ごめん出損なった][あはは、何それ]少しやり取りするとまた栄口から電話が掛かってきて。今度こそ出ると『…も、もしもし?』と緊張した様子の栄口が一拍置いてから『あのさ初詣一緒に行かない?』と一息に言う。いいよと返事したら『…良かった。あんがと』と安堵してるから、なんでまた電話?と聞けば『君の反応が気になるから直接誘いたかったんだよね』と電話口で笑う。

【田島】
いつの間にか恒例となった幼馴染田島との初詣。今年も変わらず「用意出来てるかー?」と誘いに来てくれた田島と並んで近所の神社に向かう途中に疑問を投げかける。「友達とは行かないの?」「んー、約束してないけど?」「じゃあ野球部は?」「今日は行かねー」不思議そうに首を傾げた田島が見てくるから顔を逸らせば「もしかしてなんでお前と行くのかって聞いてる?お前と行かねーとヘンなんだもん」頭の後ろで腕を組んだ田島が、にししっと笑う。

【水谷】
お参りをする前も、してる時も、終わった後も、ずっとこちらをチラ見してきていた水谷に、何をお願いしたの?と聞くと「…えぇ!もしかしてキミのこと見てたのバレた!?」と赤く染まった顔で苦笑いする。「そんなたいしたことでもないんだけどさ、」改めてこちらに視線をやると目を細めた水谷が「今年もキミと一緒にいっぱい笑えたらいいなって」とはにかむ。「今年もそうだといいね」「そうだよね」もう既にお互いにニコニコしてる。

【泉】
待ち合わせ場所に着物で現れた彼女を前に、泉は目を丸くして固まる。似合ってない?と恐る恐る聞けばすぐにハッとして「…行こうぜ」と前を歩き出す泉は耳が赤い。だけど履き慣れてない草履だから泉の歩く速さについていけなくて。名前を呼べば、すぐにこちらに振り返り足早に戻ってきた泉が「気付かなくて悪い」とグイッと手を繋いでくれるし、「その辺歩きにくいから気をつけろよ」「足、大丈夫か?」ってずっと気に掛けてくれる。

【花井】
参拝の列が長くて前がよく見えないから背伸びたら「多分もうすぐだろ」と隣から声が降ってくる。「花井くんは背が高くていいね」「…ンだよ、急に」眉をひそめた花井は横を向いたけど気にせず、今年の初褒めと続けると「…そりゃどーもな」と呟く声がする。「今年初照れ?」「だからなんだよそれは。別に照れてねーよ」はぁーっと溜息ついた花井がこちらに振り向くと顔が赤くて。「やっぱり照れてる」「…じゃあそうなんじゃねーの」首に手を当てた花井が再び横を向く。

【叶】
野球部のみんなといる叶を見つけたから、邪魔しないように気付いてないフリをしようとしたのに「おー、お前も来てたのか」片手を上げた叶は笑顔でこちらにやって来る。「みんなはいいの?」「あー…アイツらか」ちらりとみんなの方へと視線をやった叶は、興味深そうに見守られているのに気付いて赤くなった顔をしかめる。「叶?」「…お、おー。いいンだよ…!アイツらは」横を向いた叶はそう答えるけどそれからは目が合わないどころか無言の時間が続く。

【島崎】
近所の神社にお参りをしに行ったら偶然島崎と出くわす。「なんでいるの!?」「…まるでオレがいたらダメだとでも言いたげだな」島崎が眉を下げるから、そうじゃなくて驚いたからって慌てて訂正すれば「そうであってくれないと困る」と島崎の表情がふと緩む。「どういうこと?」「そのまんまの意味だけど?」まっすぐ見てくる島崎は「…まァ、今日ここに来て良かったってコトだよ」目を細めると頭をぽんぽんと撫でてきては笑う。

【高瀬】
有名な神社に来たからなのか行列になっている所に高瀬と一緒に並ぶと他愛もない話で盛り上がる。するとふと高瀬が「待ってる時間も楽しいスね」とこちらを見てきたから、退屈じゃない?と聞いたのに「イエ、全く」と首を振る。「準太って変わってるね」「…なんかその言い方は嬉しくないんスけど。ンなの、センパイと一緒だからに決まってるでしょ」顔が赤くなった高瀬は手で口元を隠すと困ったように笑う。

【榛名】
幼馴染榛名を誘っても「オレ今そんな気分じゃねぇんだけど」とインターホン越しに断られる。「じゃあ秋丸誘う」「おう、そうしてくれ」テレビの音がするから、せっかく可愛い格好したのにと呟けば「はぁ?やっぱり行くから待ってろ!」とバタバタしてる音がして「早く行こうぜ」と上着を手に持ったままの榛名が扉を開ける。「やっぱり秋丸も誘おうか」「…あー、まあその方がいいのか?」溜息ついた榛名は「まあオレはヤダけどな」と横目で見てくる。

【矢野】
家まで迎えに来てくれた矢野が「今って家の人いるのか?」と聞いてきたから何かと思えば親に断りを入れてる。だからなのか親に快く送り出されると「お前の親って話しやすいよな」「淳くんのことよく話してるもん」「そうか」矢野の表情がふっと緩む。「私が話してあったから何も言わなくて大丈夫だったのに」「そういうわけにはいかねーだろ」と息を吐いた矢野が「夜にお前を連れて歩くンだからな」と困ったように笑う。

【市原】
ぜんざいだ〜と1人で先に行こうとした彼女の腕を「先にお参りじゃないのかよ」と眉をひそめた市原が掴む。「そうだった」「お前が最初に言ったんだろ」溜息をつくと困ったように笑った市原は掴んでいたそっと腕を離す。「…私またどこか行くかもしれないよ」「…自覚があるなら勝手に動かないでくれるとありがたいんだけどな」再び眉をひそめた市原を見ると一度眉間に皺を寄せてから「じゃあここ」掴んでろって鞄の紐を手渡される。


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