バレンタイン

【榊】
「は?俺?」いかにも興味なさげとでも言いたげな態度でチョコを受け取った榊を何も言わずに見ていたら、チョコを凝視していた榊がこちらの視線に気が付いたらしく「…なんだよ」と顔を赤くしてる。「喜んでくれてるかなと思って」「まあ、程々にな」赤い顔と合わなくなった視線がおかしくて笑ってしまえば「…来月楽しみにしてろ」と小さく呟いた榊が居心地悪そうに横を向く。(ちなみに本当はめちゃくちゃ嬉しかったから携帯で何枚も写真撮ってあるしその写真はいずれ彼女に見つかる。)

【走】
差し出したチョコから視線が離れない走の名前を呼べば「本当にこれ俺に?」と走が顔を上げる。「嘘ついてどうするの」「それはそうだけど」視線が泳いでいる走に、貰ってくれる?と再びチョコを差し出せば「もちろん」と頬を染めて目を細めた走が受け取ってくれる。「でも私から以外にも貰ってそうだよね」「…だから違うから!」赤い顔で声を上げた走は「好きな子がいるからって…ことわっ……た」と口を滑らせてしまって尻すぼみに呟くと勢いよく顔逸らす。

【ニコチャン】
やけにこちらを見てくるニコチャンに、これどうぞとチョコを差し出せば「なんだよ?」と悪戯っぽく笑う。「…分かってるくせに」「お前から俺への本命チョコか?」にやにや笑顔のニコチャンにそうです!と声上げてチョコを押し付ければ「あー、揶揄って悪かった…」顔が赤くなっていくニコチャンが「照れ隠しのつもりがやりすぎた」と片手で自分の顔隠すともう片方の手で頭ぽんぽんしてくる

【ユキ】
チョコ渡す前に、本当に私以外からは貰ってない?と聞けば「貰ってない…つーかお前以外にくれるやついねぇよ」と笑ったユキが「…あー、でも」と意味ありげに呟く。「でも!?」「お前以外からも貰うな、悪い」ふっと笑ったユキは「…妹がくれるらしいんだけどそれはいいだろ」とお母さんから送られてきたらしい携帯のメッセージ画面見せてくれると「俺もチョコやりたいから買い物付き合ってくれると助かる」と嬉しそうに口角上げながら手を繋いできて歩き出す。ちなみに「お前もいるか?これ好きだろ」といかにも偶然とついでを装ってユキもチョコをくれるけど、妹用のを買う時にちゃんと彼女の分のチョコも内緒で買ってあった。

【ユキA】
一瞬動きが止まるけど「…おー、どーもな」とまたいつも通りにすぐ戻るユキは、帰り道をいつもよりもゆっくり歩く。「疲れた?」「なんともないけどお前は疲れたのか?」「私も大丈夫」「そっか」会話が終わるとなんとなくお互いに無言の時間が続くけど、こちらの家に着く直前になると「今度どっか行くか」とユキが口を開く。「急にどうしたの?」「いや?なんとなく?いいだろ、たまには」いつもみたいにニヤリと笑うユキは「まあチョコのお礼も込めてってことでさ。行きたい所考えといてくれよ」とこちらの頭をぽんぽんする。

【ハイジ】
「俺にくれるのか?ありがとう」爽やかに笑うハイジは「ちょうど良かった。俺も君にあげようと思ってたんだ」と鞄からチョコを取り出すと「君にはいつも助けられているからな」と笑いながらこちらの手のひらにチョコを乗せていく。「他のみんなにはないから内緒にしてくれ」と人差し指を唇の前で立てるハイジに、私のは義理じゃないよと言えば「…それなら俺ももっといいものを用意しておけば良かったな」と困ったように笑ったハイジが「3倍返しでお返しするから来月まで待っててくれ」とこちらの耳に手を当てて囁く。



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