バレンタイン翌日

【沖】
「あの…!」顔を真っ赤にさせながら朝一番にこちらの机までやって来た沖は「…オレ、昨日お礼言い忘れてたよね」と眉下げる。「そうだっけ?」「…そうだよ!」沖は勢いをつけると「えっと…、本当にありがとう…!」と笑ってみるけど、こちらと目が合うと恥ずかしいのか更に顔を赤くさせて「美味しかったよ、すっごく」と斜め下の方を見てしまう。

【巣山】
「余り物だけどいる?」と箱に入ったマカロンを差し出される。「貰っていいの?」「オレが作ったのだけどな」頬掻く巣山に、すごく美味しい!と興奮しつつ言えば「それなら良かった」と安心したように巣山が笑う。「でも私何もあげてないよ?」「お返しが欲しいわけじゃないからいーよ」その後、巣山は(…美味いって言ってもらえたならそれで)と付け足そうとするけどなんとなく言えなくて言葉を飲み込む。

【西広】
「君ってどんな物が好き?」いつもの雑談の途中で聞いてきた西広に、好きな物たくさんあるよと答えれば「それって例えばどんなの?」と再び聞き返される。「これ何の質問?」「…うーん、来月のための情報収集?」困ったように笑った西広は「どうせならオレも君に喜んでもらいたいからね。だからもっと知りたいんだ、君のこと」と目を細めてはにかむ。

【浜田】
「…あ、おはよ!昨日はありがとね。ひとまずこれオレからのお返し」朝、教室に入ると浜田が笑顔で駆け寄ってくる。すると「これ案外美味いんだよね。えっと、こっちが……」と味の説明をしながら浜田が手のひらに飴乗せてくるから、これって他意があったりする?とポツリと聞けば「……え?他意?」と首傾げた浜田に、大好きって意味らしいからと耳打ちすると「…そういうつもりじゃなかったけど、そう思ってくれていいよ」と真っ赤な顔して笑ってる。

【榛名】
「今ちょっといいか?」違うクラスってことも気にせずずんずんと教室に入ってきた榛名に腕引かれ階段の踊り場まで来ると急に立ち止まった榛名がくるりと振り返る。「…オレ、昨日ずっと待ってたんだからな」「何が?」分からず聞き返せば「は?それはその…」と尻すぼみになってく榛名が「…んなの、チョコに決まってんだろ」と声上げるけど顔赤い。

【高瀬】
高瀬がずっと女子に囲まれてたからチョコを渡せずじまいだった翌日、珍しく高瀬がベンチで項垂れてる。「大丈夫!?」「大丈夫です。昨日甘い物食べ過ぎただけなんで」苦笑いすると息を吐いた高瀬に、いっぱいチョコ貰ってたねと言えば「…やっぱああいうのは慣れないスね」と困ったように眉を下げて再び笑う。「そうなの?」「オレは好きな人にチョコが欲しいとも言えないようなヤツですから」少し恥ずかしそうにはにかむと、こちらを見てくるから勘違いしたくなる。

【市原】
約束もしてないのに市原が学校行く前に迎えに来てくれる。朝から会えて嬉しいと笑えば「…あー、まあな」と市原が答えるからどこか話が噛み合わない。「話聞いてる?」「聞いてるよ」ふいっと横を向いた市原はすぐにもう一度こちらに振り向いて「…昨日の美味かった。ありがとな」と呟くけど「まあ、それだけだから」と耳赤くしながら視線を逸らす。



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