〜2022.6.25 阿部
電話の向こうであの人の声がする。
だけどなんとなく、今日はいつもと違う気がする。
「なぁ、なんか今日違う? その、声とか」
『そうかな? いつもと一緒だよ?』
あの人の不思議そうな声と、それから、笑い声が響く。
『でも阿部くんこそ今日なんか違う?』
「は?」
『なんかいつもよりもあったかい』
「ンだよ、それ」
そりゃアンタと話してるからだろ。そう思ったけどそれを言ってしまうと、オレは今以上にいつも通り話せなくなる気がしたから黙っておいた。
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