〜2022.6.25 倉持


髪をセットしていると時折、隣からの視線を感じる。熱い視線を。

「……なんでそんな見てんだよ」

鏡からその人物へと視線をやれば、彼女は楽しそうに笑った。

「だって洋ちゃんが真剣で可愛くて。髪をかっこよくしてる時の洋ちゃん好きだよ」
「あ?なんだそれ」

鏡に映った自分の顔が赤くて居心地が悪くなって眉をひそめれば、そんな俺を見た彼女はやはりクスクスと笑う。

「洋ちゃんのそういう所、他の人には見せたくないなぁ」
「別に見せるつもりもねーよ」

他意も真意もなかったその言葉で彼女と頬が赤く染まったからやっぱり居心地が悪くて鏡へと視線を戻したら、俺の顔も相変わらず赤かった。


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