2020.11.11おそ松の日 (松/松野おそ松)

「あ、おっはよ〜。ねぇねぇ、今日ヒマ? ヒマだよね?」

今日は仕事が休みだからゴミ出しが終わったら二度寝しよう。寝惚けた頭でそう考えながら玄関を出ると、いつものように赤いパーカーを着たおそ松が立っていた。

「……おそ松?」
「そう、俺、おそ松でーす! あ、ゴミ出し? 俺するよ? 今日は休みでヒマでしょ? 玄関の鍵開けたまま二度寝してよ。すぐ戻ってくるからさ〜!」

朝っぱらからのハイテンションについていけず、とりあえずお礼を言って部屋へと戻る。

昨日は遅くまで残業してたから眠いなぁ………。そういえばおそ松っていつもは起きるの遅くなかったっけ……。

なんて色々考えているうちにいつの間にか眠っていたらしい私は、ご飯が炊けた音で目が覚めた。

部屋中に漂う炊きたてのご飯の匂い。その先のキッチンからは赤いパーカーが見えた。するとこちらの物音に気づいたのかおそ松が顔を覗かせた。

「あ、起きた? おはよ〜。ちゃんと眠れた? ちょうど朝メシ? 昼メシ? 出来たよぉ〜」

そう言うとおそ松はテキパキと机の上におかずたちを並べ始めた。卵焼き、お味噌汁、肉じゃが、お漬け物。それにご飯と果物。どれもとても美味しそうだ。

寝ている時間から考えるとこれだけの量を作れても不思議ではない。だけど全部おそ松が? なんて考えながら料理を見つめていたら、おそ松は笑った。

「あぁ〜、それ、肉じゃがと漬け物は母さんが作ったやつ。だから味は保証する。卵焼きと味噌汁は分かんねぇけど」

なはは、と笑うおそ松に寝惚けてうやむやになったままだった、朝から疑問に思っていたことを投げかける。

「なんで色々してくれるの?」
「えー、だって心配だもん、君のこと。世話焼いたっていいだろー。俺って長男だから? 彼氏だから? 君が無理してないか気になんだよ〜」

唇を尖らせながらおそ松は呟いた。だから朝早くに起きて、来てくれたんだ。

「……ふふ、ありがとう。いただきます!」
「おー、どーぞ! 食べて食べて〜」

おそ松は嬉しそうに笑って、お母さんが作ったというお漬け物は、これが美味しいとか、これは醤油かけると美味いとか色々説明してくれた。

そして説明が終わると、思い出したように言った。
「あ、今日って11月11日だろ? 1が4つの俺の日だからさ、俺が君に4つのことする日だからさ! あと君を褒めまくる俺と、君と一緒に運動してストレス発散する俺もいるから楽しみにしてろよ? ちなみにあと2つはゴミ出しした俺とご飯の用意した俺ね。夜ご飯もばっちしだから」

にっと笑ったおそ松の笑顔は爽やかなはずなのに、どこか不安も感じてしまう笑顔だった。

だけどおそ松が作ってくれたご飯が美味しくて疲れがどこかへ飛んでいったのは本当だし、お言葉に甘えて今日はおそ松にめいっぱい褒めてもらおうと思った。そうすると明日からも頑張れるから。

おそ松を見ると、卵焼きと味噌汁どう? と首を傾げている。美味しいよ、とおそ松の口にも卵焼きを入れると、……間接キス!? と騒いでいたから、さっきとは裏腹に何も不安に感じることはないような気がしてくる。


今日はおそ松の日だから、おそ松にたくさんの感謝と私の想いを伝える日にしよう。

「ありがとう。大好きだよ、おそ松」


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