好きな子と付き合いたくてジンクスを作ったおそ松の話 (松/おそ松)


「七夕の日に星空の下で好きな人とキスしたらずっと一緒にいられるんだって」

そう、おそ松くんが言った。



おそ松くんはクラスの人気者。彼は誰にでも分け隔てなく優しいということもあって、彼の周りにはいつもたくさんの人が集まっている。
私はそんな人気者で誰にでも優しいおそ松くんが好き。でもおそ松くんには好きな女の子がいるらしい。だからもしも告白できたとしても付き合える望みは薄いのだ。それにまず私なんか自分に自信がないんだから告白なんてできるわけがない。

「おっそ松くーん!」

おそ松くんの名前を呼びながら1人の女の子がやって来た。あの子だ。

「あ、トト子ちゃん!今日はどうしたの?」

そう、トト子ちゃん。弱井トト子ちゃんといって、おそ松くんの幼馴染みで自分に自信があるかっこいい女の子だ。幼馴染みなだけあって仲がいいのかよくおそ松くんを訪ねてくる。

そしてこのトト子ちゃんの前ではおそ松くんはいつもと違う顔を見せる。

「トト子、今日はおそ松くんに話があって来たの 聞いてくれる?」
「トト子ちゃんから話!?もっちろんだよ!」

やっぱりおそ松くん!トト子ちゃんの話は断るわけないか


そんなことを考えているとおそ松くんが鼻の下を擦りながら戻ってきた。何故か真っ赤な顔をして。

なんで顔真っ赤なんだろ?トト子ちゃんがおそ松くんを訪ねてくる時って「教科書貸して」とか「雨降ってきたから傘貸して」とかだよね?トト子ちゃんもおそ松くんが言ってたジンクス知ってたとか…?まさか…?

松野 お前顔真っ赤だぜ?告白でもされた?」

まさかと思った瞬間、私が思っていたことをちょうどクラスの男子が聞いてくれた。

「いや、そんなんじゃないって トト子ちゃんがさ、こく…」

こく…?やっぱり告白!?

「黒板代わりに消しておいてくれたら飴くれるって!トト子ちゃんから飴貰えるんだよ?いいだろ?トト子ちゃんから飴貰えるなら頑張んないとなぁ

な、なんだ飴か!よかった!すっごく安心した。でもなんでかものすごく焦っていた自分もいる。


それもそのはず。なんたってその七夕は今日なんだから。
つまりおそ松くんが言っていたジンクスは今日やらないと効果がない。
恥ずかしい…けど、そんなこと言っていたって仕方が無い!おそ松くんはみんなの人気者だしさっきみたいなこともまたあるかもしれないし。

よし、おそ松くんに告おう!

もう決めた。決めたんだからね。自信がないとかいって引き下がるのは無しだよ私!

「お、おそ松くん…」

ほら、呼んじゃった!おそ松くん呼んじゃったよ

「ん、どした?俺に何か用事?」
「あ、あのね、おそ松くんに話があるの。ここだと恥ずかしいから向こうで聞いてもらってもいいかな?」

もう後戻りはできない!頑張れ私!!

「なんだ、そんなことか!もちろんいいぜ
「お、松野また告白ですか モテる男は違うね

クラスの男子がはやし立ててくる。

「お前らうっせー!違うし!バーカバーカ!」

おそ松くんかばってくれた…!でもその通りなんだしおそ松くんに迷惑はかけていられない。
「そ、そうだよ!これからおそ松くんに告白するの!恥ずかしいからついてこないでね!」

言ってやった。とうとうあの男子どもに言ってやった!
「行こう、おそ松くん!」

おそ松くんを引っ張って人が少ないところまでやってきた。

「みんなびっくりしたかなぁ 巻き込ませちゃってごめんね おそ松くん。て、あれ?おそ松くん顔真っ赤だよ?どうしたの?」

と、聞くと

「いや、お前がそんなこと言ってくれるなんて思わなくて…その、嬉しくてつい…」

おそ松くんが更に顔を真っ赤にさせてそう言った。それにつられて私の顔も真っ赤になる。

え、嬉しい…?それって…

「ねぇ、おそ松くん!あのね、私…」
「ちょ、ちょっと待った!それは俺から言わせてくんね?お前に色々してもらったんだから俺からじゃないと格好つかないし!」

私は うん、もちろんと頷いた。

「俺 実はさ、お前のそういう他人のこと考えて真っ先に動けるところ前からめちゃくちゃかっこいいと思ってたんだ。ほんとにさっきはありがとうな。いや、そう、そうなんだけど違う!あぁー!!えーっと、1回しか言わないからちゃんと聞いてろよ…?俺お前のこと好き。お前は俺のこと好き?」

そ、そんなの…

「そんなの…私もおそ松くんのこと好きに決まってるよー!!」
「へへ、よかった。嬉しい。あんがとな」

鼻の下を擦りながらおそ松くんが答えた。おそ松くん、顔が今まで以上に真っ赤。私もそんなに真っ赤なのかな?それにすっごく嬉しい。それにおそ松くんにかっこいいなんて言ってもらえてとっても勇気が出た。

「でも、あんな聞き方!私がおそ松くんのこと好きなのわかっててあんな聞き方したんでしょ!?おそ松くんずるい!!」
「ありゃ、バレちゃった?んじゃあさ、今日七夕だし学校帰りにデート行こうぜ!な?いいだろ?」

話をずらすかのように鼻の下を擦りながらおそ松くんが言った。実はこれ、おそ松くんが照れた時にする癖なのだ。

「もちろん!いいよ。あのジンクスも確かめないとだしね」

ふふ、と笑うとおそ松くんが申し訳なさそうに

「ごめん!実はあれ、俺が作ったんだ。お前と付き合いたいがためにさ。ほんっとうにごめんな!」

と言った。

そ、そうだったのか…!私はまんまと騙されたってわけか…おそ松くんって策士だ。さすがはいたずらっ子松野家六つ子の長男!すごいな。

「じゃあさ、私たちでそのジンクス証明してみせよう!」

お返し と、言わんばかりに私は言った。おそ松くんはまた照れて鼻の下を擦ってる。



「今日のデート楽しみだな
「そうだね あ、トト子ちゃんとおそ松くんの関係についてまた詳しく聞かせてね?」
「トト子ちゃん?トト子ちゃんは俺たち六つ子の幼馴染みで可愛いアイドル!」
「え、じゃあ、私…は……?」
「お、お前…?なまえは俺のめちゃくちゃ可愛い彼女!!」
「えへへ、おそ松くんも私のめちゃくちゃかっこいい彼氏だよ」

なんてことを話しながら私たちは手を繋いで教室へ戻った。

私たちの顔と同じくらい真っ赤な夕日が沈んでいく。綺麗な星空が見えるまであと少し。楽しみなのと嬉しいのが込み上げてきて、私はおそ松くんの手をぎゅっと握った。



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