*誕生日にはホールケーキを (松/松野おそ松)
「俺ずっと夢があんだけど、お前に叶えるの手伝ってもらってもいい?」
なははって笑いながら楽しそうにこの提案をしたのはおそ松。
だけど目の前にはホールケーキがまだ半分以上残っている。
おそ松の夢、それは誕生日にでっかいホールケーキを食べること。それも弟たちとは分け合わずに自分だけで。でも一人はやっぱりキツそうだから、ということで私が呼ばれた。
「……お前もう少しだけ食べられない?」
「もう無理。ご飯ちゃんと食べてから食べるものじゃないよ」
「えー、でも俺の夢なんだよ〜? デザートは別腹って言うじゃん」
「ホールケーキを2人で、は別腹には収まらないって」
「だよなぁ……」
ケーキに視線を落としたおそ松が息を吐いたから、やっぱり弟くんたちにもお裾分けしない? と首を傾げる。
「だーめ。そしたらお前と弟たちが間接ちゅうすることになるだろ」
唇を尖らせたおそ松が再びケーキを食べ始めた。私も息を吐いてからケーキに手を伸ばす。
「おそ松は歳をとっても変わらないね」
「でもそこも好きなんだろ?」
こちらには目もくれずにもぐもぐとケーキを食べてるおそ松はやっぱりもう限界ぎりぎりと言わんばかりで。
これは明日の朝ご飯もケーキで決まりなんだろうなと、つい呆れ混じりの笑みが零れた。
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