「やっぱお風呂上りは暑いなぁ…」

節電、地球温暖化、冷房は26度以下にするな、7月に入ってから耳にタコが出来るくらいテレビの向こう側に居るアナウンサー達は言うけれど一体どれだけの人がその言葉を気にして守っているのだろうか。少なくともこの妖館内にそういう人はいないだろう、勿論私を含めて。

冷房を入れてベッドへダイブ、遊園地内を歩き回ったせいか少し足が重く感じる。マッサージをした方が浮腫まなくて済むんだろうけど、そんな気力今の私にはない。


「…手、繋いじゃった」

左手が視界に入る、数時間経った今もまだ手には感触が残っていた。反ノ塚さんの手、意外と大きかったな…なんて、思い出してたらまた顔が熱くなってきた。手で顔に風を送ったけどそんな簡単に熱が引くわけもない、寧ろさっきよりも火照った感じがする。体の下にあるシーツが熱を持っていくのが分かる、…ああ、なんか気持ち良くなくなってきた。

「それにしても、姉さん遅いなぁ…」

大浴場に行ってくると部屋を出て行ったのが40分くらい前、いくらなんでも遅すぎる。遊び疲れて眠いとか言ってたし、まさかお風呂の中で寝てるんじゃ…いや、冬場ならまだしも夏場にお風呂の中で寝る確率は低いか。

(そういえば前も部屋に戻ってこなくて探しに行ったんだっけ、あの時はラウンジで寝てたんだよね…。)

私が見つけて部屋まで連れて帰ったから良かったけど、あのまま朝まで眠ってたら絶対風邪引いてたよね…よし、探しに行こう。




「と、出て来たものの…」

ラウンジにも大浴場にも居なかったし、一体どこに居るのやら…

「あれ、名前たん?」
「あ、夏目さん」

お風呂上りらしい、いつも結んでいる髪の毛は解いていて少し湿っていた。髪の毛解いてるのもだけど、スーツじゃない夏目さん見るのは初めてかも…。

「どうしたの〜?」
「姉が部屋に戻って来ないのでもしかしたらどこかで寝てるんじゃないかと思って探してるんですけど、中々見つからなくて…」
「野ばらちゃん?野ばらちゃんなら屋上に行ったけど?」
「え、屋上ですか?」
「うん、涼んでくるってさ♪でもボクが見たのは結構前だし、もしかしたらそのまま寝ちゃってるかもね」
「そうですか、じゃあ行ってみます。夏目さん、教えてくれてありがとうございました」
「どういたしまして♪」

夏目さんに頭を下げて丁度この階で止まっていたエレベーターに乗り込んだ。






「ふふっ、面白くなりそうだ♪」



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