夏っていうのは苦手だ、雪女の先祖返りというのが関係しているのかどうかは分からないけどとにかく暑いのに弱い私はまだ7月に入ったばかりだというのに既に夏バテ気味で主食がかき氷、もしくはアイスというダメダメな生活を送っている。

「あー……夏休みまでまだ二週間近くあるよ……」

シャリ、シャリ、とスプーンでかき氷の山を崩しながら携帯で日数確認。友達は「たった二週間じゃない」と苦笑いしていたけど、私からしたら二週間“も”だ。

「君は相変わらずかき氷ばかり食べているな」
「……おー、凜々蝶ちゃんだ」
「そんなものばかり食べているとお腹を壊すぞ」

ため息交じりでそう言うと蕎麦の乗ったトレイをテーブルに置いた。珍しい、今日は凜々蝶ちゃん一人なのか…いつも傍に居るはずの彼の姿がどこを探しても見当たらない。

「今日は御狐神さんいないんだね」
「ふん、彼なら私用で出かけている」
「そうなんだー、珍しいこともあるものだね」
「…ところで、その大量のパンフレットはなんだ?」

私の手元にあるのは携帯と大量のアトラクションプールのパンフレット、ちなみに学生割引クーポンもついてる。

「ああ、これ?友達と行こうっていう話をしてて、どこにしようか考えてたんだ。」
「君、暑いのは苦手だと言っていなかったか?」
「苦手だけど水があるから大丈夫」

水があればいいのか、突っ込まれたけどそれはスルーして…さて、どこにしようか。パンフレットを見ながら悩んでいるとまたラウンジのドアが開いた。

「あっれー?名前たんとちよたん何してるの〜?」
「あ、夏目さん」
「なになに、二人でプール行くの?」
「違う、雪小路さんが友人と行くんだ」
「そうなんだ〜。あ、野ばらちゃんにはこのこと言ったの?」
「?いえ、」
「内緒にしておいた方がいいと思うよ、名前たんが水着着るなんて言ったらついて行っちゃいそうだからね♪」
「……」

カメラを構えた姉さんの姿が脳裏を過る、ダメだ…姉さんが来たら皆に迷惑がかかる…!姉さんのことは好きだけど公共の場で「メニアック!」なんて大声で叫んでほしくない!凜々蝶ちゃんもカメラ片手に興奮する姉さんの姿を想像したらしく眉間に皺を寄せながら夏目さんの言葉に頷いていた。

「…あの、お二人とも、この件については姉さんには秘密でお願いします」

二人は頷いてくれたけど念のために後でお菓子でも持っていこう、特に夏目さんには大量のお菓子を。




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