『白鬼院凜々蝶の婚約者だ!!!』
昨日初めて知った事実、沖縄から帰って来るなりとんでもない爆弾を落としていったあの男は私にそのことについて説明するわけでもなくどこかへ行ってしまった。…大方、また渡狸君をからかいに行ってるんだろうけど。
彼が凜々蝶ちゃんの婚約者だということは当の本人と凜々蝶ちゃん以外知らなかったようで皆驚いていた。言葉を失う私を気まずそうに見つめてきた彼女の顔を数時間が経過した今でも鮮明に覚えてる。
「…蜻蛉の、ばか」
凜々蝶ちゃんにどういう顔して会えばいいか分かんないじゃない。
「ここに居たのか、我が肉便器よ」
バァンッ!と勢いよくドアを開けたのは爆弾を落としていった張本人の蜻蛉。カツカツと靴を鳴らしてまたろくでもない土産が入っているのだろう、大きな紙袋を差し出してくる。
「土産だ、受け取るがいい!」
「…いらない」
「む?機嫌が悪いな。貴様、さては生理「違うから!」
では何だというのだ、と首を傾げ本気で悩み始めた蜻蛉にため息を吐きたくなった。…この男、自分が原因だとは思わないのか。
「……許嫁が居たんなら、居たって言ってよ」
ぽつりとそう言葉を零せば、少しの沈黙が生まれる。でもすぐに「そんなことを気にしていたのか」という馬鹿にしたような声が室内に響いた。
「そんなことって…普通気にするでしょ!許嫁って簡単に言えば将来を約束してるってことでしょ!?そんなの、」
「勘違いするな、許嫁といっても昔の話だ。それに、私は貴様以外愛するつもりはないし、嫁に迎えるつもりもない」
ぐいっと私の手を引っ張ってソファーから立ち上がらせると蜻蛉はそのまま私を抱きしめた。優しく、まるで安心しろと言っているように彼の大きな手が私の頭を撫でる。
「私が愛しているのは貴様だけだ、名前。」
私の唇に蜻蛉の唇が重なった。
私はまた、貴方に恋をする
(tittle:Aコース様)
「…蜻蛉って優しいよね」
「ん?私はドSだぞ!よし、今夜貴様の部屋で焦らしプレイでもするか!」
「……その変態な部分さえ無ければ完璧なのに」
でも、そんな蜻蛉も好きだけどね。