献身的な看病の結果(?)意外にも熱は早く引いた。彼にバレないよう包帯を変えたり消毒をするは少し大変だったけど、ここ4・5日体を動かさなかったからか傷口も塞がり痕も目立たなくなってきた。…一体あの出血量はなんだったんだろう、あれだけ見たらもっと派手に痕が残っても良さそうなものだけど…まぁ、いっか。寧ろ痕が残らなくて良かったと喜ばなきゃ。
「名前ちゃ〜ん!もうっ、心配したんだからぁっ!」
久しぶりに広いお風呂でゆっくりお湯に浸かりたいな、そう思った私は着替えとタオルを持って大浴場のある階へやって来た。
「ご心配おかけしました」
「大丈夫なの?痛いところとかない?」
「もう大丈夫ですよ、熱も下がりましたし寧ろ調子がいいくらいです」
それを聞いて安心したのか野ばらさんはにっこりと笑って私を抱きしめた。
「今からお風呂入るんでしょう?一緒に入りましょ!」
「はいっ」
「名前ちゃんの裸…ハァッ、ハァッ…!」
…今何か怪しい言葉と荒い鼻息が聞こえた気がしたけど、スルーしておこう。うん、そうしよう。
すぐお湯に浸かりたいとこだけど、さすがに5日間も体を洗っていない状態で入るのはどうかと思って私はすぐに体を洗いにシャワーの方へと向かった。…私が髪を洗っていると少し離れた所から食い入るような、なんともいえない強烈な視線を感じたけどさっきと同じくスルーしてわしゃわしゃとシャンプーを泡立てる
「はぁ〜…いいわぁ………」
「……(スルー、スルー)」
「…あら?」
「…野ばらさん…?」
急に湯船から上がったと思えばすたすたと私の方に歩いてくる、そしてタイルに膝をつくと人差し指で私の胸骨を指差した
「ここ、少し黒くなってるけどどうしたの?」
「え?…あ、ほんとだ」
湯気で曇っていた鏡を手で拭えば野ばらさんが指さしたところが少しだけ黒くなっていた。…指で擦ってみても落ちない、気付かない内にどこかに打ち付けてしまったのだろうか。
「もう、女の子なんだから気を付けなきゃダメよ〜?」
「はーい」
綺麗に消えるといいけど…と野ばらさんが心配そうな顔をしたから「心配しすぎですよ」と笑った。「色も薄いしすぐに消えますよ」、と。