勇士が揃ってからというもの上田は一気に賑やかになったと思う、いや賑やかになったのは確実だ。伊佐那海や才蔵が来た時から賑やかになったなぁと思ってはいたけど、鎌之介さんや清海さんが来てからは特に…賑やかというより煩いと言った方が正しいのだろうか。

「あら、名前じゃない」
「アナ」

鎌之介さんに気付かれないよう音を立てずに下へ降りれば丁度そこにはアナが居て、私の表情と恰好を見て何があったかを悟ったらしい。呆れられたというか、「アンタも大変ね」とため息交を吐かれてしまった

「また朝から追いかけっこ?」
「…私が望んで始めたわけじゃなんだけどね」
「その様子じゃ、まだなんでしょ?私も行くところだから一緒に行きましょう」
「うん」

基本朝は食べないけど、こういう仕事のない日はちゃんと三食食べる。…というのも、早朝からの鎌之介さんとの追いかけっこでお腹が空いちゃうからなんだけど。幸村様は「健康的でいいじゃないか」なんて笑っていたけど…まったく、他人事だと思って…



「でも、よく続けられるわね」
「なにが?」
「追いかけっこ」
「……別にしたくてしてるわけじゃ、」
「でも、楽しそうな顔してるじゃない」
「それは鎌之介さんがでしょ?」
「名前もよ」
「…嘘」
「本当」

もしかして気付いてないの?とアナは呆れ気味に聞いてきた。そんなはずない、だって私はせっかくの休みを潰されて迷惑してるんだもん。今日だって布団破られたし、この前は襖破られたし

「…貴方って本当、鈍い子」
「え?」
「なんでもないわ」
「でも今絶対何か言っ「名前っ、見つけたぞ!!」

城の塀をよじ登った鎌之介さんは私の姿を見つけてそう叫ぶと鎖鎌をビュンビュンと振り回し始めた。ああ、撒いたと思ったのに…ため息を吐く私にアナは「一緒に食べれなくて残念だわ」と肩を叩いてスタスタと歩いて行ってしまった。

「今度は逃がさねーからな、今すぐ俺と戦え!」
「……はぁ…」


 




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