『佐助、名前の面倒をちゃんと見るのだぞ。分からないことがあったらちゃんと教えてやること、分かったな』

(幸村様、そう言った。我、ちゃんと面倒見る。)


食事の乗った膳を手に名前の居る部屋へ向かう、冬の空気のせいか煮物から出ている湯気がはっきりと見えて足を動かす度にゆらゆらと揺れた。…早くしないと、冷める。

名前に与えられた部屋の前、膳を落とさないよう気を付けつつ戸を開ければアナが居た。

「アナ、何故ここに」
「幸村様がついていてやれって。来たばかりの場所に一人だなんて可哀想でしょ?」

この子、伊佐那海には怯ちゃうから必然的に私が選ばれたのよ。

そう小さくため息を吐いてアナは少し離れたところで雨春と遊んでいる名前へ視線を向けた。遊んでもらっている雨春も遊んでいる名前もどこか楽しそうで、見ていると自然と頬が緩む、それはアナも同じようだ。

「名前、飯」

膳を置けば不思議そうに目を丸くして色々な角度から見つめて首を傾げた

「この子、こういうの初めて見るんじゃない?今まで山の中で生活してたんだし、もしかしたら食事って理解してないんじゃないかしら」

そう言うとアナは漬物をとって自分の口へと運んだ。そこでこれは食べ物なのだと理解できたらしい、茶碗へと手を伸ばし、そして


「名前っ、熱い!素手、駄目!」

素手で煮物を掴もうとした。箸を手に取りこうやって食べるのだと教えてやれば少し困ったような表情をして真似をする

「持ち方、違う」
「…」
「刺す、駄目」
「…」
「魚、頭から齧る、駄目」


「……まるで親子みたいね」




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