オッサンの言葉の意味がよく分からなくて首を傾げているとドタドタと廊下を走る音がして次の瞬間には勢いよく襖が開き素っ裸の女が部屋に飛び込んできた。

「!?」
「なっ…!」
「おお!」
「…」

入って来た女はそのまま佐助の後ろに隠れるとその背中に抱き着いて顔を埋めた。突然のことに俺たちも驚いたが、一番驚いているのは抱き着かれている佐助だった。瞬きを数回した後状況を理解したのか急に顔と耳を赤くしてオロオロし始めた、その姿はお前本当に真田忍隊の頭なのかと突っ込みたくなるくらいだ。
そんな佐助の姿を見て羨ましそうな声を上げたオッサンとため息を吐いている六郎さんの姿が視界に入る。…まぁ、あんな風に抱き着かれて羨ましくない男なんていねーだろうな。


「ここに居た…!!もうっ、急に逃げたからびっくりしたじゃない、」



「名前!」



「は?」
「え、」

息を切らして部屋に入って来た伊佐那海は確かにそう言った。少し前のあのボロボロの服に身を包んだ姿が脳裏を過る、まさか…そんなはず……

「お、おい伊佐那海!」
「なに?」
「お前、名前って…誰かと間違ってんじゃねーのか」
「間違ってなんかないよ、だって本人だもん」
「まじかよ…」

伊佐那海の様子を窺うようにそっと顔を覗かせている女、その前髪は目の下まであって…ああ、あの長さは間違いなくアイツだ。汚れが落ちたからなのか少し軽くなった髪の隙間から怯えたように揺れる瞳が見えた。

「…お前、アイツに何したんだ」
「失礼ね、別に何もしてないわよ!ただ手ぬぐいで顔を拭こうとしたら逃げちゃって…」
「そのままでは風邪を引いてしまいますね、顔は後にして今は服を着せるべきです」
「俺はあのままでも良いんだがな、目の保養になるし」
「…若」
「冗談だって、そんなに睨むなよ。…アナ、そこに居るんだろ?」

オッサンが天井を見上げてそう声をかければパカッと蓋が開いた。

「服着せてやってくれ」
「…仕方ないわね」
「服なら私が「お前は大人しくしとけ」

まだ怯えているアイツにアナが優しく声をかけ手招きをする。伊佐那海がしたようなことはしないと分かったのか、それともただ単にアナの声に安心したのかまだ硬直したままの佐助から離れてアナの腕の中へ、その光景を見た伊佐那海は「なんでアナには懐くの?!」と嘆いていた。



「おい、大丈夫か」
「……」
「佐助には刺激が強すぎたようだな」
「…そのようですね」




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