「なんで花音さんは不二先輩に懐いてるんすか?」

いつも苛めてるのに。


なんて、可愛くない事を聞いてくるのはもちろん越前で、僕はユニフォームに着替えながらその問いに答えた

「あえて言うなら人望かな?」
「……人望?」
「うん。花音警戒心は強いけど、僕はおおらかな人柄だから…それに、忠実なペットは主人にちょっといじわるされても帰ってくるし」
「……ペット?」
「うん、ペット。ほら…」


あのパーマの掛かった髪の毛とか、名前を呼ぶと嬉しそうに駆け寄ってくる所とか、落ち着きが無い時に怒ると凹んで黙ってまたすり寄ってくる所とか…
犬みたいで可愛いよね
僕主人に忠実なペット欲しかったんだ


「…前に妹みたいで可愛いとか言ってませんでしたっけ…?」
「言ってたけど、まぁ限りなくペットに近いね」
「……」
「クスクス…4(妹)、6(犬)の割合だよ」
「(たちが悪い…)」
「さてと、今日も可愛がってくるかな」
「……ほどほどにしないとそのうち本気で嫌われますよ」
「大丈夫だよ。僕だから」
「……」

この人は何を根拠にそんなの断言できるんだろう…



「しゅーくーん!リョーちゃーん!国光が早くしろって呼んでるよ」
「今行くよ。花音の今日の髪型可愛いね」
「え!ほんと?」
「うん、ツインテールが犬の耳みたい」
「…それ…褒め言葉?」
「褒め言葉」


喜んでいいのかうずうず悩んでいる花音そんな顔されたらもっといじめたく(可愛がりたく)なっちゃうよ

だけど、たまには優しくしないとね


「花音だから、可愛いんだよ」
「…周くん…しゅーくんダイスキー!」
「知ってる」



この先、一生2人の関係はこのままなんだと理解したリョーマは黙って先にコートに向かった


花音はただのMだと分かった日の事でした

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