「どわぁぁぁぁぁぁぁぁ???!!!」 ガタガタッ そいつは、いきなり降ってきた。 …………という厨二全開なセリフを発するに至ったことに俺はため息。 目の前にはスピードバカが二人。 『………ほな始めますよ』 『『おう!!任しとけ(や)!!』』 …………俺がめちゃくちゃ乗り気じゃないの分かってるんやろうかこのアホ達。 パンッと耳に響くピストル音を奏でて二人は一斉に走り出した。 それを全校中が盛り上がって応援している。 ………………どうしてこうなった。 今日も今日とて謙也さんと魔王主催の『おいでませ((ry』をしに放送室に向かっていたときだった。 「なぁ光!今日は誰が来ると思う?」 「………俺に被害がなけりゃ誰でもええです」 前回の不二さんは軽い俺のトラウマになってしまっている。 謙也さんにバレなかったからよかったものの、完全にあれは俺の弱みや。 いつ脅されるかも分からんからもう最近はいつもビクビクしとる。 魔王達ってほんまずっこいわ……… 「なんや消極的やな光。大丈夫かいな?無理はするなや?あ、あんな、俺は――――」 ………謙也さんが俺を心配そうに見てくるのはぶっちゃけ嬉しいのだけれど。 「どわぁぁぁぁぁぁぁぁ???!!!」 なんて俺達の大事な二人きりの時間を引き裂く馬鹿の悲鳴が上から降ってきた。 基本俺は回避能力は高いので、(切原のときは精神的に辛かったから避けられなかったんや)さっと避けたら何かが潰れた音。 今まで俺がいた場所に転がる人間。 …………後ろ姿に特徴は皆無といっていい。 ヨタヨタ起き上がったソイツは前髪が邪魔くさそうで仕方なかった。 そしてコイツは前述のいうとおり空から降ってきた。 つか…………誰?コイツ 『あ!不動峰の神尾くんやないか!』 『あ!!浪速の何たら忍足さん!!』 『浪速のスピードスターや!!!』 マイクが入ってる……。 今日のゲストってまさか…… 『………今日のゲストは不動峰の神尾って人なんか……』 俺にもマイクが通る。 これはどうやらイヤホンマイクがいきなり現れたんやな。 これ絶対幸村サマや……… 『てか光お前覚えてないんか?!同学年やろ!!ほら、全国でやった不動峰の神尾くん!!ダブルスで俺と試合したやん!!』 『ダブルス………?』 頭に浮かべるのは全国。 全国の青学には黒歴史あるから嫌なんやけどな思い出すん。 不動峰はたしか準々決勝か……? 『………ああ。謙也さんに褒められてた音速名乗る謙也さんと同種のスピードバカか。』 『『誰がスピードバカや(だ)!!』』 スピードバカはギャンギャンと喧しいな………。 つか幸村サマがイヤホンマイクにわざわざしたってことは意図があるんやろうな。 んでこのスピードバカが落ちてきたのは下駄箱近く。 ………ちゅーことは。 『つかいきなりあの立海の幸村っていう人に飛ばされたんスけど、まさかここ四天宝寺ですか?』 『そう。だけどいきがんなや神尾。幸村”サマ”や。これやからスピードバカは……』 『光それ一緒に俺をバカにしてるやろ?』 ああくそめんどくさいことになる臭いがプンプンするわ。 『神尾君これはな、幸村さまに作って貰った四天で今やっとる昼放送でな。ゲストに神尾君が呼ばれたんや』 『はあ……ゲストに……』 ポカンとしてよく分かってない反応。 まあこれが普通のやろな、うん。 『まあいいや忍足さん!!俺とスピード勝負しましょうよ!!』 普 通 や な か っ た。 『スピード勝負ときいて逃げる訳にはいかんなぁ……ええで、受けて立ってやるわ』 『よっしゃ!テニスでは負けたけどこれでは勝ってやる!!』 いや無理やろ。 という俺の思いとは裏腹にバタバタと外に出てくアホ二人。 『光は実況頼むで!!』 『よろしくな!!』 誰がやるか!!! ……………と言いたかったけど魔王サマを敵には回したくないので仕方なく外靴に履き変えた。 校庭に出るとベランダから応援してる四天の生徒達。 ほんまノリがええことで。 『はあ………ほな始めますか』 諦めた俺がやはりどっかから現れたピストルを構える。 幸村さま実はどこかで見てるんやない? 用意周到すぎや。 『いちについて、よーい……』 といって前述に戻る訳だ。 『走ってます』 以外に俺は何言えばええか分からんから黙って眺める。 トラック3周勝負。 体力も必要になる勝負にしたらしい。 まあ、それでも。 『浪速のスピードスターがいるっちゅー話や!!!!』 謙也さんの圧勝な訳だけれど。 『くそっ……また負けたのか俺は…!!』 バンッと校庭をたたく神尾。 …………どこのスポコン漫画やねん。 『神尾………』 ふ、と立ち上がって謙也さんは神尾の肩を叩く。 いやだからどこのスポコン((ry 『浪速のスピードスターが上やっただけで、お前もええもん持ってる。いつ追いつかれるかヒヤヒヤしたわ』 『謙也さん…………』 オイコラなに名前呼びしてんねん!! 『また、勝負しよや。次も負けへんけどな』 『……はい!!俺いつか謙也さんを抜いてみせます!』 …………コイツら完全に俺をいない扱いやろ。 ………ん、このピストル…… 『さあ行くで神尾!!あの夕日に向かってランニングや!!』 『はい!!』 ダッと走り出した謙也さんを追おうとする神尾に銃口を向ける。 『帰れ』 パンッ ピストルを撃った瞬間ふっと神尾は消えた。 おかしいと思ったんや。 ピストルにたくさん弾が入ってるなんて。 ひっくり返してみたら案の定、 『撃てば神尾は消えるよ^^』 という魔王さんからのお言葉が綴ってあった。 『謙也さん神尾がいなくなったことにいつ気付くんやろ……』 金色の残像を残し、一人でスポコンしている謙也さんを俺は可哀相なものを見るような目でみたのだった。 〜おいでませ IN The 四天宝寺〜 今回は神尾アキラでお送りしました (アレ!?神尾くんがおらん!!) (スピードバカってめんどくさいんですね部長) (せやなー) ―――――――――――― Request第二弾! 神尾といったらスピード勝負かと思いまして。 神尾の喋り方が分からないから困った(;´Д`) Requestしてくれた方がどんなのを望んだかはわかりませんが、感想くれると嬉しいです |