お前優しすぎ…なんで?
貴方への想いは
もうぐちゃぐちゃで
傷だらけの想いには
もう目も当てられない
いつからだったか。
財前は俺なんかをいつも優先してくれていた。
さっきだって、
「財前、おらん…?」
きょろ、と見渡しても謙也の目に、あの生意気な後輩の姿は写らない。
「あんな、財前。聞こえてないかもしれんけど言う、わ。俺今もな、白石にフラれてきたんや…やけどな、全然辛くあらへん。」
『白石……あん、な』
『……わかっとるわ』
『え?』
『謙也は今、俺にフラれたんが辛い思ってる訳やない。財前にああいうことを言わせたのが辛いんやないか?』
『…………おん』
『やろ?確かに謙也は俺を最初は好きだった。やけど、そこから段々と財前に支えてもらって、俺への思いより強い想いを感じた。
けど、俺にフラれたことが忘れられんかった。謙也は俺を忘れられん訳やない。
俺にフラれたんが忘れられんくて辛かったんや』
『………ほんまに最初は、白石にフラれたんが忘れられんくて辛かったんや。やけどな、段々と……ちゃうことが辛くなったん』
『……ごめんな謙也。でも、俺は謙也を本当に親友として好きや。男やなくても、謙也は多分女やったとしても、俺の永遠の親友やったと思う』
『おん、俺も白石とは永遠の親友でいたいて今は思う。』
『せや。やから謙也、早く−−−−』
「財前、お前のおかげや。………やから聞きたい…!!」
涙を零すな。
財前に本当に顔向けできんくなる。
「お前、優し過ぎやねん…!!何でや…!!」
期待してしまう。
財前が流した涙はフラれてかわいそうな俺を思ってなのか。
それとも−−−−−−
「ッ……!!これ以上期待したくないねん……!!」
………がたん
「!」
「………謙也……さん」
現れた財前は涙でぐしゃぐしゃで、俺は何をどうすればいいかわからない。
「すんません……俺、謙也さんに何も言えへん。これ以上は何も、やれへん…!!」
俯いた財前に、俺はどうすればいいのか。
財前を、もし、自分が思った通りなら、泣かせたのは紛れもなく、俺なんや。
そう思ったら、俺は、涙がボロボロ流れて止まらなくなった。
悲し過ぎる。
フラれたばかりだから、俺の想いは信じてもらえない。
財前は、俺が傷つけ過ぎたから、これ以上はできない。
どうしようもないジレンマに、どうしようもなく俺は悲しくなった。
俺と財前の想いはぐちゃぐちゃで、複雑で、危うく壊れてしまいそうで……
「……謙也さん、泣かんでや。お願いやから…あんたが泣くん俺はつらすぎる……!!」
泣かないで、
泣かないで。
泣かないで?
泣かないで……
「好きです……すみません謙也さん………!!」
言わせてしまった俺に、こんなこと言う資格はないかもしれない。
だけどこれ以上、傷つけたくないから。
「信じて貰えんかもしれんけど……!!
俺、白石より、光のが好きや!!!!!大好きや!!!」
ぐちゃぐちゃした俺の想いと君の想いが繋がるまで、
あと−−−−−−−
−−−−−−−−−−−−−−−−−
「光!!」
「うるさいッスわ謙也さん。なんすか?」
「………好きやで!!!」
「…………俺は、愛してるッスわ」
(君の優しさは、綺麗なまま)
本当に優しかったのはだれ?
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