俺いま傷心期間だから

彼に恋してる俺は
なんて声を
掛けらいいんだろう?

















白石、にフラれ、た。

いや、男同士だから当然だけど、白石はまるで裏切られた、という顔をしていた。

きっと、白石は親友である[忍足謙也]がとても大事だったんだ。

本当に何ら変哲ない日。いつものように、お昼を食べていた時、にふと、

白石好きやなぁ…

なんて呟いてしまった俺。

『けん、や…?』

『!!!』

その時の白石の顔はかなりショックを受けていて、まるで異端を見るような顔をしていた。

ああ、白石は無駄、が嫌いやったな、と今更に思った。

『ゴメン、白石っ…!』

『謙也、お前……』

『スマン本当スマン。でも、お前への想いは本物、なんや……』

『ッ…………!!』

辛そうな顔をした白石に俺の心は勢いよくエグられた。

『一週間や』

『え、』

『一週間は白石と親友やめて、気持ちに整理つけて、お前への想いは無くすから。そしたら、また親友、に戻ろうや』

『おん……』

『ほな、なっ!!』

浪速のスピードスターよろしく俺は勢いよくその場を後にした。




白石の傍にいるのが、初めて、辛いと思った。

バンッ!


ドンッ

「!!うわっ…!」

屋上に駆け込んだ俺は、思い切り誰かにぶつかった。

「………謙也、さん…?」

「財、前……!!」

財前の目が大きく見開かれた。
そりゃそーだ、先輩である俺がボロボロと泣いてるのだから。

「財前…!財前!!ざいぜっ…!!!」

ガバッと財前にのしかかるように抱き着いて俺はわんわんと泣いた。

財前は驚いたかのように最初はぽかん、としていたがすぐに俺の頭を撫でてくれた。

その手は、白石が俺に触る時のように無機質な包帯の感触ではなく、温かい、人間の手だった。

−−−−−−−−−−−−−−−−

「…どうかしたんですか?」

「…………」

「言いたないなら構いませんけど、話したら少しは楽になるかもしれませんよ?」

「…………おん」

ポンポンと体育座りしている俺の頭を撫でる財前はいつになくとも優しかった。

だけど……

「言ったら、財前も俺を嫌いになるかもしれへんから…言えん」


「…………そうっすか」

慰めてもらっといて、訳を話さないなんて最低なのに、財前はよしよし、と頭を撫でてくれる。

その優しさが、俺は心地好かった。

「……あの」

「……なんや?」

「何となく、謙也さんが泣いてる理由、わかります、から」

「…………え」

「白石部長、絡みですよね……」

「…………」

「謙也さんが、部長を好きなんはずっと知ってましたし、俺の友達にも、男好きになってる奴いるんで、偏見はないですから。話したかったら、話して下さい。全部、受け入れるんで……」

財前の優しさが温かくて、俺は我慢できなかった。

「俺な、つい白石に好きゆってもーたんや」

「………」

顔を伏せたまま、ぽつぽつと話し出す。
財前は俺の頭を撫でながら黙って聞いている。

「そしたら、凄い怖がられてな…まあ、何となく想像はしてた。けど…」

震える声で言葉を紡ぐ。

「俺の想いを完全に否定された気がして…!!」

また溢れてくる涙。
財前がそっとハンカチを渡してくれた。

「……優しいなぁ、財前は……」

「  は」

意味が分からない、と財前は眉をひそめた。

「俺、財前を好きになればよかったな……」

そういった瞬間、財前は一瞬、ほんの一瞬だけ辛そうに顔を歪めた。

「あきません謙也さん。」

どこかハッキリとした口調で財前は言った。

「白石部長に自分の想いを否定されたん嫌やったんでしょう?だったら自分で自分の想いを否定したら駄目ッスわ」

真剣な口調でわれ、俺は思わずコクリと頷いた。

「……なぁ財前」

「なんスか?」

「俺、一週間白石と親友やめて、この気持ちを無くす、って言ったんや。ほんまは、嘘」

財前は静かに頷いた。

「そう簡単に無くせるハズないやん……話さないなんて俺のため。辛くて仕方ないのに白石の前なんか行けへん」

「そりゃそーッスわ」

「財前…あのさ、利用するようで悪いんやけど、一週間、俺の傍にいてくれへん……??」

「………え」

「一人で、いれる、自信ないねん…。俺いま傷心期間やから」

財前は少し驚いたようにしたがすぐに頷いた。

「ま、しゃーないッスわ。謙也さんの傷心期間、付き合ったります」

「…!!ありがとな!財前っ!!」







































このとき、君の想いに気づいていれば、よかったのに。




















(気づけたら、きっと)

どこからか俺を攻める声が聞こえた






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