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それは何と言うか、いきなりきた、嵐。






「冬コミの売り子してくれへん?光謙やからお前らいるだけでかなり売れる思うねん」

「アンタ真面目に馬鹿か!!」

財前がどっからか引っ張り出してきたハリセンで白石の頭をぶっ叩いた。
うわ、むっちゃ今痛そうな音したわ。効果音を言うならドバチンッて感じ。
てかいつも思うけど常備してんの?

「勝手に俺らモチーフにした薄い本書きやがってホンマ……そこまでは3万歩譲って許す…いや許しはせんけど。けど、看板みたいな扱いせんで貰いましょうか。大体俺は嫁関連の同人誌に行くからそないな時間取れません」

「けち臭いな財前は〜。もう少し幅広い世界見たほうがええで絶対。ぶっちゃけ腐男子にならへんか?」

「んな怪しい勧誘してる暇あったら死ね」

「落ち着きなっせ二人とも。犯してしまいそうばい、うざすぎて」

黒い笑いを浮かべた千歳に気づいた二人はささっと顔を背けた。(若干顔が青い)
最近千歳、黒さ増した気がするんやけど、気のせいやんな?(侑士が最近たぶらかし経験をクソ丁寧にご教示したらしい)
そう、気のせいや気のせい。

と軽い自己暗示をしてから三人をチラリと見る。
わきゃわきゃ楽しそう?にしている様子に、愛しさが増す(少し恐怖も増す主に千歳)。





だけど、あの三人は、もう俺の掛け替えのない存在だから。


と、和やかな雰囲気を醸し出していた人間部(主に謙也のみ)。

だが、


ガァンッ!!



その人間部部室のドアが、突如として荒々しく開かれた。



「……………え?」

ここで人間部のメンバーを紹介しよう。
まずは部長の白石蔵ノ介。
勉強できるはスポーツ万能だはな優等生で、絵面はリア充そのもの。
であるのに中身は腐男子。
R18同人誌大好きな変態。
最近のお気に入りは俺と財前が絡んだ光謙?本。
中身はよう知らない。財前が「謙也さんはこんな汚れた本見ちゃあきません!!」とか何とか言っとったから。
俺と同じクラスでよく一緒にいるようになった。(のでクラス中からイタい視線を受けている)


続いて千歳千里。
甘いマスクで天然キャラ。

……を気取る壮絶なドSで真っ黒け(全てが)。
長身でもちろん文武両道。
趣味は女の子をたぶらかす。どこまで経験してるか気になるとこやけどそこは聞かずに黙っている。おまけに最近侑士がご丁寧にもオンナノコを火傷させていた時代についてレクチャーされて更に悪化した。
また、侑士の若りし時代に憧れを持ったらしく、侑士を師匠と呼んでいる。
畜生恨むで侑士。
という訳で聞かない(障らぬ神に祟りなしとはまさにこのこと)
俺やってまだ命が惜しい。し、
それに財前が「謙也さん汚したらアカン!」て千歳の前に立ちはだかってたから。(ちょっと胸きゅんしたって事実は墓場まで持っていく)俺と同じ中三で時々サボりに付き合わされる、のでイタい視線を受けている(千歳教と優等生とせんせいがた)。


んで、さっきからちょいちょい話に出ている財前光。
寡黙でクールを気取っていて、何だかんだクラスメートから人気あって人望もある俺の後輩で学級委員。
勉強スポーツだって天才だから?という理由でなんなくクリア。

だが、中身はヲタク。半端ないヲタク。
初音ミクは俺の嫁。最近知ったがグミやメグは愛人。
毒舌だけだったら右に出るもの無し。
また俺をきゅんきゅんさせる天才である……ってなに言わすねん!!
なにこのカンペ!!


んで、さっきから語り部をしているのが俺、忍足謙也。
2年の2学期中間にこの学園に来た珍しい転校生。
家族が外国に行くという事情で〜、ここら辺の話はわりあいする。

俺は極度の上がり症で、他人と目が合うと、人一人殺したことのあるような目つきになる。
そのせいでこの学園に来るまで友達と言える人間は侑士くらいしかいなかった。
しかし、ひょんなことから、財前のヲタク発言を聞いてしまった俺は人間部に脅迫される。(脅迫といっても命令なようなものやったけど)
しかしそこまでは平気だった俺だが、財前くんに絡まれて(その時は君付けだった)、自分の本性である上がり症を晒し、その後、俺のもう一つの本性、生粋の受け子体質をバラしてしまい、人間部に千歳に脅迫される形で入部した。
最初は苦手だった三人ともイロイロな経過(といってもあまり深いものはないが)を経て、すっかり打ち解けて現在に至る中ニ生です。










そんな4人のメンバーが人間部に現在在籍する生徒である(白石部長に聞いた)

であるからして……………






こんな超絶キラキライケメンな勝ち組リア充がこの部室にくるはずはないのである。




「……………………だr」

俺が誰、と呟こうとした瞬間、財前が俺の口をスパァンッ塞ぎ、ガガガガッと千歳に引きずられ、部室のハジに連行された。
その間0.5秒、お見事。


「謙也さん静かに……!あの二人に関わっちゃアカン…!!」

「さすがに俺でも引くくらいばい。謙也には堪えられなか…!」

二人が汗ダラッダラにして静かに喋る。
え、いや、そないに怖い人なんあの人?てか二人?白石も?

なんて質問を頭にぐるぐるさせる間もなく、俺は理解した。

……………この世の本当の恐怖というモノを。


「やぁ学園のキングを名乗る痛々しい七光り厨二病のべサマwwwここの部室にはアンタみたいな(偏屈)人間が来る場所やないからさっさと馬糞でもあびて糞塗れになって泣いて帰ってくれ。いや、べサマに付いてまうなんて馬糞が可哀相やな訂正するわ。馬糞に糞塗れにならせて貰ってええ感じによがって死ね…やない、地獄に堕ち、いや地獄が可哀相やな存在消せ。分かる程度の機能は付いてるやろうから分かったら神聖な部室がべサマによって汚れて腐り落ちてしまう前にさっさと逝け。」

「アーン?相変わらずキモい面晒して恥ずかしくねーのか偏屈変態馬糞男。テメーこそ馬糞が似合うんじゃねーか?いや、テメーなんかに馬糞を似合わせて貰うなんておこがましかったな忘れてくれ。存在をダレモが忘れるくらいに消失してから逝け。馬糞なんてお前が使うに相応しくない単語を利用してるお前に携わる全ての者が可哀相…いや不憫で目も当てられねぇくらいだ。てめぇこそクソキモいんだよ。この学園が腐敗臭を発する前に消えて亡くなれよ」



「…………………えぐっ」

「………ね、えぐいッスよね」

「あれは敵わんばい……」

「うぇぇーん……!」

「「!!!??」」

ガバッと二人が振り向くと、心底怖がって涙目になってい受け子体質全開の謙也。
千歳がアラーと呟いた瞬間、財前は顔を真っ赤にした。
ちなみにさっきの「えぐっ」は泣きそうになった謙也のしゃくりである。

「何やこれ怖いわぁぁぁ………!!!うー……!!」

ひっくひっくと今にも泣きそうな謙也にワタワタする財前を千歳は楽しげに見つめている。

「謙也さん……」

「財前んっ……うぇぇ……」

こぼれ落ちそうな涙を必死に払う謙也に、財前は少し顔を赤くしたり青くしたりして躊躇したりし、ようやっと覚悟を決めて、謙也の頭を胸に抱き込んだ。


「だ、大丈夫ですわ謙也さん、俺が、いますから……」

「財前んっ……!!」

財前の言葉に感動したのかギュウウッと更に謙也は財前にしがみついた。
それに更に財前は顔を赤くした。

「あはは〜財前てホンに童貞なんね。顔真っ赤ばい、面白か〜」

「ううううっさいッスわ!!童貞でなにが悪いねん!!」

からかう千歳にぎゃあぎゃあと財前が喚くと、騒ぎに気がついた罵言を言い合っていた二人、白石とキラキライケメンが振り向いた。

「「!!!!!!???///」」

二人のイケメンは目をキラキラさせて、財前と謙也の様子に食いついた。

「なっ……!!何て言う美味しいシチュエーションなんやっ……!!」

「ヤ、ヤベェ…!!俺も混じって3Pにしてえ……!!!」
































「…………………………え?」


ちょお待て、今とても残念な言葉をキラキライケメンが言った気がする。(白石はいつものことやけど)

「さんぴい……?」

謙也が訝しげにキラキライケメンを見ると、キラキライケメンはフンッと胸を張った。

「俺はホモだ。3Pにしたいと思って何が悪い?カプなんかより総受け総攻めが好きだ」

どこからかいらねぇよそんな自己紹介、という声が聞こえた。

「………………………………………………………………………………………………………………………………」












もうイケメンは信じない、
また、謙也は心の底からそう誓ったという。


「あー……謙也、さん?その……そろそろ……」

「へ?うあ!!」

アカン財前にひっつき虫と字に書いて如く抱き着いたまんまやった!

「ス、スマン……」

「い、いえ………」

え、なにこれめっちゃ恥ずい。

「ほなこつ二人は純情ったい。さて、ここにいるキラキライケメンを紹介してよかと?謙也」

「あ、あ、おん!」

慌てて黒い千歳の空気を察して頷くと、千歳はにこりと笑った。(なにこれ超怖い)

「ここにいるんは………」

「待て、わざわざ話すことでもねえからいい。今日は期末試験についてに来たんだ」

「……!」

 期 末 試 験 !!!

「せや、勉強始めな………」

侑士に教えて貰いたいんいくつかあるんやけどなぁ……
侑士最近出張で忙しそうやし……

「この部活はこれといって素晴らしい成績がある訳じゃねぇからな。全員が全員学業にだけはいい成績を持ってるから存続を認めてはいるが…………」

チラ、とキラキライケメンに見られてビシリと顔が固まる。
言っておくけど俺はまだ上がり症治ってへんのやで!!!

「アーン?俺に顔くれるたぁいい度胸だ……」

「…え……あ……」

「やめて下さい、べさん。謙也さんはアンタに対して緊張してるんや。」

すっとさりげなく謙也の前に立った財前に、謙也の胸がキュンという音をたてた。

「まぁいい……それでだ、そこにいる新しく入部した男、そいつが学年で10番以内じゃなけりゃ、この部は廃部、以上だ。じゃあな」



















バタン



嫌になるくらいむなしくドアの閉める音が響き、謙也は顔を真っ青にした。

「…………………………アレ、範囲やん」

嘘やん、と謙也の呟きが、人間部の部室に転がって、消えた。





















「…………という訳で」

バンッ、とテーブルを叩いた白石は恐ろしく整った顔を更に恐ろしく真面目にした。

「今回もやるで!TOP10に入って『べ』の鼻明かして罵ったろうはたまた蔑んでやろう我等ができる男さ、いざ集まれ!いんざ人間部!〜栄光の本性を守れ編絶対零度の帝王を倒せ、さすれば新たな冒険が俺らを待っているで章〜………異論はあらへんよな?」

「俺は突っ込むべきなん?」

思わず真顔でそうは言った。

「ほな、財前から。古典が今回範囲らしいな、イケるんか?」

おもっくそスルーされた………

「まあ、嫌ッスけどちゃんと勉強すりゃ平均以上は余裕ですわ。あとは他の教科で10番以内は守れます。」

「千歳は?」

「なんも心配はいらんたい。テスト範囲のどこでるか見極めりゃ余裕ばい。心配ないっちゃ」

「………そうか。まあ、俺は今回も通常通り行けば3番以内は確実や。問題は…………」

じっ、と白石に見られて思わずすくむ。
白石はそんな俺にふ、とわらった。

「そないに縮み上がらんでええよ。謙也は大事な仲間や、絶対に廃部の責任なんか負わさへんよ」

「白石…………おおきに」

へにゃ、と笑うと隣に座っていた財前が小さく奇声をあげた。

「ほな謙也の状況聞こか。なにがイケる?」

「……………じ、自慢する訳ちゃうんやけど、今まで通ってた学校では教科別やったら1桁の成績なんや。友達おらんかったから、勉強にだけ熱注いでたし………やから、苦手科目以外なら、別にイケると思うねん。」

「………じゃあその苦手科目を平均以上とりゃイケるんやないか?」

目をキラキラさせた白石にゆっくりと首を振った。
それじゃダメなんや。

「………………一度、だけな。その苦手科目一つ以外のテストすべて98点以上取ったことあんのや………」

「へええ、そりゃ凄いやん」

「やけど学年順位、30位やった………」







「「「…………………………へ」」」












謙也以外の三人のマヌケな声が、人間部に堕ちた。







「…………ちなみに何の教科?」

「……………………世界史」

「おもっくそ範囲やんけ!!」

白石の盛大なツッコミが人間部に響いた。

「…………ほかの教科は平気なんやな?」

「………おん」

「分かった。なら、ホンマはやりたないし、本末転倒になるかもしれへんけど………千歳っ」

「了解っちゃ」

白石に言われ、千歳は急に押し黙り、静かになった。

「……………え?」

「謙也がまだ知らなかったまだある千歳の本質はな、未来に何が起こるか分かるんや。そのせいで捻くれた言っても過言やないけど………まあええ」

自身の周りをキラキラさせ、再びゆっくりと千歳は目を開けた。



「教科書見せなっせ、…………ココと、ココ。ココもばい。ココを重点的にやれば良か」


ふっといつもの千歳に戻ったと思えばテキパキとやるべき場所を指す。
そんな千歳に目を見開いた。

「………大丈夫か千歳?なんか疲れてるように見えるけど」

「!………大丈夫ばい。才気は疲れてしまうだけたい。謙也こそ、怖くなか?俺のこと。」

「ううん、平気やで。おおきにな、千歳」

「礼には及ばんばい」

すくっと立ち上がるとフラフラ出ていってしまった千歳に少し微笑む。
性格は悪いけど、やっぱりええ奴なんやな、千歳って。


「……………………………」

「財ぜーん、眉間にたーくさんシワが寄ってるでぇ」

「!!………しゃーないッスわ」

「よしっ……!!行くで世界史!フラメンコスコザバニエルやっけ?コイツ?」

「「全然違うわ!!」」

※フランシスコザビエルです


財前や白石に付き合って貰いつつ、俺は必死に世界史を勉強した。

俺は、居場所を取られたない……!!




















期末試験当日。



「………………ヤバイ無理」

フランボワーズザッバーンやったっけ?フラフラザバーンエニリーやっけ?(※フランシスコザビエルです)
全く頭が回らない。
よりによって期末試験の社会(世界史)は最後の日のラスト。
緊張を半端なく俺はしている。

目つきは完全にヤクザ者だ。
白石にすら驚かれたんだ。
どれだけ悪いんだろう。


なんて頭の端で考える。
ホンマに緊張してるとどっかいらんトコは冷静なんやな、と完全に人事に思う。


「謙也、大丈夫か?」

「無理…………………」

ああこういうときどうすりゃええんや、おれってほんとうにへたれやだめだめや。

「しらいし………俺が今部活やめれば人間部救われる?」

「なっ、アホなこと言いなや!!」

「やけど………!!」

「こんなことだと思ったばい」

ゆらりと現れた大きな影、伏せていた顔をあげると千歳の姿。

「謙也なら大丈夫ばい、安心しなっせ」

「無理や、絶対無理……!!」

プルプルと震えが止まらない。
俺、ほんとに大丈夫なんか?

「謙也さん、大丈夫」

「!?………財前!?」

そっと肩に添えられた手。
他学年の財前がにこやかに立っていた。

「財前おま、テスト……!」

「そんなことより謙也さんや。大丈夫、あんなに頑張ったじゃないッスか、きっと平気や」

背後で白石が、千歳、財前連れてくるなんてお前ナイス過ぎやわ!と言っていたのを遠く聞きながら、財前の瞳を見つめる。

黒い宝石がちりばめられたような透き通るように綺麗な財前の目。

ああ、なんやろ。
凄い落ち着く。

「大丈夫や、謙也」

後ろから肩に乗った包帯が巻かれた手。

「謙也ならイケるたい」

横で頭を撫でる千歳。

「平気ですよ、謙也さん、俺らがいます」

正面から俺の頬に手を添える財前。

正面に財前、横に千歳、背後に白石。廊下側のやから、完全に周りから俺の様子は見えないだろう。

「ありがとぉ………皆」

ポロリ、と一粒涙をこぼし、俺はお礼を言った。
緊張なんか消えた。
せや、フランボワーズザッバーンやない、フラフラザバーンエニリーやない、フランシスコザビエルや。

「頑張るわ!」

俺がそういって笑うと、皆一斉に戻って行った。

さあ、世界史やったるで!!
























結果は、平均より少し下くらい。
だけど、他の教科が良かったから、無事俺は学年順位で10位以内、10位になれた。

「ホンマ良かったわ……」

「良かったですね、謙也さん」

今、千歳と白石は部室におらず、俺と財前は二人きりだ。

「なんかな、財前の目を見ると凄い落ち着いたんや………何でやろ」

「!!!…………さぁ」

財前の顔に少し朱が差した。
あ、なんかかわええ。

「せや、結局あのべ、って奴誰なん?」

「あ、言ってなかったんでしたっけ?あの人は白石部長と犬猿の仲で(カプ派と総受け総攻め派で)、この学校の生徒会長で――――」

「跡部財閥跡取りの跡部景吾だ」

「「!!!??」」」



いきなりドアを開けて現れたべ、改め跡部景吾くんに俺と財前は目を見開いて驚いた。

「そういやお前の名前を聞いてなか「侑士が勤めてる跡部財閥!?侑士がお気に入りの跡部景吾くん!!!」

びしっ、と謙也が指差すと跡部の眉にシワが寄った。

「てめぇ、忍足を呼び捨てるたぁ随分親しいみたいだなぁ……何者だ?」

「あ、従兄弟なんや。俺忍足謙也、よろしくな。」

「ああ、忍足が同居してる従兄弟ってお前のことか……」

跡部くんはふぅん、と言って俺をジロジロと見て一言


「……………勝った」

いやなにが?



「じゃあな忍足謙也。忍足はいつか俺が頂いてくぜ。」

「え?あ、おん。侑士のことこれからもご贔屓にしてな」

「当たり前だ、じゃあな」

バタン、と颯爽と出て行った跡部くんにはてなマークを飛ばす。
財前は侑士さん大丈夫なんだろうか、と頭を軽く抱えている。

なして?

「そういや世界史の間違ったトコ、やり直すよう白石さんにいわれてたんや、やりましょ」

「あ、せやったな。待って今――――」











ガッ






なんて言えばイイのだろうか。
とりあえず俺は絨毯に足を取られてすっ転びそうになった。

しかし、財前が慌てたように俺を支えようとして、だけど俺は伸ばした手で財前を押してしまって、


つまり俺は財前を潰すようにぶっ倒れた。



そして、倒れ込んだ俺の目の前には財前の顔があった。






ちゅ、

という軽快な音。


















「……………………え?」






財前の唇近くに唇を落としてしまった俺。

慌てて起き上がり、財前に謝ると、財前は赤い顔で気にせんで下さい、と言った。

未遂で良かったッスね、

という財前に慌てて俺はコクリと頷く。



起きたことは以上だ。





だけど、

















「なんっ………!?コレ……!?」



心臓が、うるさい。
びっくりしてとかじゃなくて、ドキドキバクバクして、未遂やなかった方が良かった―――――

なんて、俺の心が、叫んだ。





嘘やろ―――――――!?






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