カッコイイトキ
財前はハッキリ言ってカッコイイ。
クールなのに時折見せる笑顔は年相応に可愛いので女子からの支持は高い
そんな財前が1番カッコイイトキを理解してるのは恋人である自分だ、と思ってたりする。
「謙也さん。明日の朝、気をつけて下さいよ」
「朝…?」
?マークを浮かべて首を傾げる謙也に内心萌えつつ、(顔には一切出さないが)財前は告げた。
「明日、風紀チェックッスわ。新任の先生が勝手に作った。忘れてたんすか?」
「……………」
さあぁ、と顔を青ざめて謙也は恐る恐る部室にある学校予定表を見た。
「…うっ」
「う?」
「嘘やあぁぁぁぁん!!!!!!!!」
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「うー…!!」
家に帰ってから謙也は頭を抱えた。
その頭、つまり金髪頭が明日の風紀チェックで肝となる。
四天宝寺という学校で風紀チェックなんかいらんと思います先生。
なんて言ったらこういう学校だからこそ必要だと言われたらしい。
何やねんあの新任の先生。うざ過ぎる。
「どないしよう…」
ここで髪を黒くするなんて嫌だ。明日先生怖いケド嫌だ。
謙也はおかしなトコでいらん男前を発揮した。
先生に怒られたくないトコはへたれだが。
「そや、明日早起きして風紀チェックが始まる前に学校に入りさえすればこっちの話っちゅー話やな!!よし、そうと決めたら寝るで!!おやすみ!!」
ちなみに今までの独り言は愛ペットのイグアナと話していた。
……怪しいには変わりないが。
次の日
謙也は寝坊した。
盛ッ大に寝坊した。
浪速のスピードスターでも本気で走らなアカンくらい。
つまりだ。
今日の風紀チェック、盛大にひっかかる。
「嘘やああぁぁぁぁぁぁん!!!!」
朝から謙也の凄まじい叫びが響いた。
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「ッ……!!」
そして今現在、謙也は泣きそうだった。
理由は簡単。
新任の先生に謙也はぶつかり、ずっとグチグチ言われているからだった。
「大体そんな頭でテニス部レギュラーだと?笑わせるな。そんなお前がレギュラーなら、テニス部のたかが知れるな」
自分だけならよかったのに、と謙也は奥歯を噛み締める。
テニス部みんなを悪く言われ、謙也は悔しくて仕方ない。
ぐ、と堪え続けていると、さも今思いついたように新任の先生は言った。
「そうだお前がいたら、テニス部の格が下がる。テニス部、いますぐやめなさい」
「なっ…!!ふざけんなや!!今やっと全国への道が見えて来たんや!!何で辞めなアカンねん!!!!」
「いいから辞めろ。これ以上テニス部の格を下げるな。」
ついに涙が一筋こぼれ落ちそうになった瞬間
ドカッ
目の前にいる新任の先生が派手に蹴飛ばされ、ぶっ倒れた。
「は…!!?」
驚いて振り返ると見慣れた五輪ピアス。
「ひか……?!」
話し掛けようとした謙也は光の目を見て硬直した。
財前の目がヤバい位に怒っている。
「あんた、何してんすか?」
ゲホゲホ、とむせている新任の先生に光は容赦なく睨みつける。
「この人は大事なテニス部レギュラーッス。あんたなんかが簡単に辞めさせてえぇ相手やないですわ」
「貴様ッ…!!」
ギリッと忌ま忌ましげに睨みつけてきた新任の先生に光は飄々とする。
「てか、校門の真ん中に立つとか周りの迷惑ッスわ。風紀や校則うんぬんの前に一般常識身につけたらどうッスか?」
「なっ……!!」
「てか、香水臭いッスあんた。香水付けてるくせに頭改めろ?改めんのはあんたっていう存在ッスわ」
ギロ、と般若が後ろに見える風に睨む光に新任の先生もぞっとした。
「大体ココのモットーは笑かしたもん勝ちッス。あんた全然笑わせてへんやん。つまんない人間過ぎてヘドが出るわ。そんなあんたにこの学校が勿体ないッス。今すぐに……」
今日1番の邪悪な笑みで光は言った。
「四天宝寺中学、辞めて欲しいッスわ。
い ま す ぐ に」
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この財前のしたコトは伝説となりました。
でな、光が1番カッコイイ時って、自惚れかもしれへんが俺が絡んだ時やねん。
いつもはダラダラしてる光が俺のピンチには凛々しく救ってくれる……。
ほんまカッコイイやっちゃ!!!
「…てのが俺が光カッコイイ思うトキなんやけど…」
「…………謙也さんあんたね…」
「き、気に入らんかった!?他にもあるんやで!!!例えば俺が告白した時にはにかみながら俺を受け入れてキスしてくれたくれた時とか…」
「あんたこれ以上俺を喜ばせないでください!!!可愛すぎやねん!!!」